衆院選で地方の激戦区に機動隊派遣、ドローン対策に「ジャミング装置」活用も…警察庁検討

 15日公示の衆院選に向け、警察庁が地方の激戦区に警視庁や各管区の機動隊を派遣する運用を検討していることが、わかった。7月のトランプ前米大統領狙撃事件を受け、「高所」の警戒も強化する方針で、ドローンに妨害電波を照射する「ジャミング装置」の活用も検討されている。

「高所」も警戒強化

警察庁

 国政選の街頭演説を巡っては、一昨年7月の参院選で安倍晋三元首相が銃撃されて死亡。昨年4月の衆院補選では岸田文雄前首相に向けて爆発物が投げ込まれた。今回の衆院選は両事件後、初の大規模な国政選だ。

 警察庁は安倍氏の事件後、都道府県警の警護計画案を事前審査する制度を導入。要人を守る警護員を全国で300人以上増員した。全国の警察は演説会場に制服警察官を配置するなど態勢を強化する一方、各陣営に聴衆への所持品検査などの徹底を呼びかけている。

 だが、激戦区には与野党の要人が相次いで応援に入る見通しで、警察庁は一つの自治体で応援演説が重なった場合などに、地方の警察では警備が手薄になる恐れがあると分析。警視庁などの機動隊を広域派遣する方向で準備を進めている。

 今年4月の衆院島根1区補選では、大阪府警から派遣された警備犬が岸田前首相の応援演説会場で警戒に当たった。だが、選挙警備を巡って機動隊を広域で運用するのは異例だ。

 一方、米国のトランプ前大統領が演説中に建物屋上から撃たれた事件は、上空などからの攻撃への警戒の重要性を浮き彫りにした。

 警視庁では新たなジャミング装置を配備。数キロ先を飛ぶドローンを全方位で検知し、妨害電波を発して操縦不能にできるのが特徴で、今月5日に佐賀市で開かれた国民スポーツ大会の開会式で初めて使用した。衆院選でも街頭演説の警備への活用を検討している。

 警察は、演説会場周辺のビルに警察官を配置するほか、選挙カーに乗った要人の後方を守るため、防弾マットなども活用していく。

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