公明の「不記載」議員推薦は計18人、比例選での得票増図る…野党側は批判強める

 公明党が、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、収支報告書に不記載があった前議員らに衆院選での推薦を次々と決めている。地方で自公協力を求める声が強く、比例選で得票数の上積みを図る狙いもある。野党側はこうした動きに批判を強めている。

 公明は9、10の両日、小選挙区の立候補予定者の推薦を決定した。不記載があった自民の前議員や支部長は計18人に上り、非公認となった前議員2人も含まれた。

 公明は「与党としての議席最大化」を目標に掲げ、自公で相互推薦することを基本としている。公明の解散時の勢力は32議席で、うち比例選が23議席だ。前回衆院選では比例選800万票を目標としたが、711万票にとどまった。

 これまで「選挙区は自民、比例は公明」とすみ分けるバーター方式での選挙協力を進めてきた経緯があり、比例選での票の上積みには、自民の協力が不可欠だ。

 推薦の判断を巡り、石井代表は7日、「不記載」議員らは政治への不信を高めているとして、〈1〉地元の公明党員らに説明責任を果たしている〈2〉公明との協調関係に貢献している〈3〉党員らが納得している――の3点の基準を記者団に説明。非公認となった前議員については、自民党本部から推薦要請がなされないと踏み、「推薦することにはならない」と強調していた。

 ただ、三ツ林裕巳・前衆院議員(埼玉13区)、西村康稔・元経済産業相(兵庫9区)からは、個別に公明党県本部に推薦要請があり、「地元の意思を最大限尊重する」(西田幹事長)として、推薦を決めた。

 衆院小選挙区の「10増10減」に伴い、埼玉県内では三ツ林氏が地盤としてきた旧14区の一部が、石井氏が出馬予定の新14区に加わる。公明幹部は「三ツ林氏は石井氏に精力的に協力してきた」と指摘し、西村氏についても「地元の党関係者と良好な関係を築いている」とし、いずれも基準を満たすと説明する。

 これに対し、立憲民主党の野田代表は10日、都内で行った街頭演説で「同じ穴のむじなのように公明党が協力するならば、自公の勢力を過半数割れに追い込む」と語気を強めた。

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