石破内閣が発足、戦後最速の8日後に解散へ「国民の信問うのは憲法の趣旨」…最低賃金「全国平均1500円」目標

 自民党の石破茂総裁は1日午後、国会で第102代首相の指名を受け、皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て石破内閣が発足した。首相は同日夜の記者会見で衆院を9日に解散すると表明した。衆院選は「15日公示―27日投開票」の日程で実施される。新政権では、経済対策や防災体制の強化、地方創生などに注力するほか、同盟国・同志国との連携強化を目指す。

 首相は記者会見で「国民に勇気と真心をもって真実を語る。謙虚で誠実で、温かい政治を行っていく」と語り、内閣を「納得と共感内閣」と名付けた。

 戦後最短となる首相就任8日後の衆院解散については、「新しい内閣が発足した。新内閣について国民の信を問うということは憲法の趣旨だ」と述べた。

 経済分野の取り組みとして、物価高に対応する経済対策の検討を早期に指示すると説明。最低賃金は2020年代に「全国平均1500円」を目指す考えを示した。防災対策では、側近の赤沢亮正経済再生相に「防災庁設置準備担当」を任せ、記者会見で「国民の不安に正面から向き合うため、防災庁の設置に取り組む」とした。地方創生の推進では「新しい地方経済・生活環境創生本部」創設に向け担当相を設置した。

石破内閣が発足し、記念撮影に臨む石破首相(前列中央)ら(1日夜、首相官邸で)=武藤要撮影

 首相がかねて主張する日米地位協定の見直しを巡っては、「日米同盟をより強固なものにするためで、日米が果たす義務に変化はない」と強調し、「必要に応じて自民党での議論を求める」とした。一方、「首相になったからといって、いきなり実現するとは思っていない」とも語った。地位協定見直しには米国内で懸念が出ており、今後の政権対応が問われる。

 首相はこの日、組閣に先立って首相官邸で公明党の石井代表と与党党首会談を行い、連立政権の継続を確認した。

記者会見する石破首相(1日夜、首相官邸で)=大金史典撮影

 1日に召集された臨時国会では、4日に首相の所信表明演説が行われる。自民党は7~8日に各党との代表質問、9日に党首討論を行う日程を野党に提案している。その後、首相は10~11日の日程で、ラオスでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席し、首脳外交デビューする予定だ。

親任式のため、首相官邸を出る自民党の石破総裁(1日午後)

 今回の組閣では、初入閣が13人で、女性閣僚は2人だった。官房副長官には橘慶一郎衆院議員と青木一彦参院議員、佐藤文俊・元総務次官が就任した。国家安全保障担当の首相補佐官には長島昭久衆院議員が就任し、森昌文、矢田稚子両補佐官は再任された。副大臣・政務官人事は3日に行う。

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