“ピリついた緊張感”石破総理が初の日中首脳会談…ASEAN首脳会議で外交デビューも「アジア版NATO」構想は封印【news23】

衆議院を解散した石破総理は10日、ラオスで本格的な外交をスタートさせました。中国による海洋進出などの課題をめぐり、ASEANとの連携を深めたい石破氏は、初の首脳会談でどんなカラーを打ち出したのでしょうか？

石破総理が外交デビュー　アジア版NATO「賢明だとは思わない」

ASEAN＝東南アジア諸国連合の首脳らと笑顔で握手を交わす石破総理。

石破総理　
「共に未来を守っていくために、ASEAN諸国との協力を更に強化する」

中国が海洋進出の動きを強めるなか、石破総理は経済や安全保障などの分野でASEANとの連携を深めたい姿勢を強調しました。

一方、石破総理がかねて創設に意欲を示してきた多国間による安全保障体制「アジア版NATO」。今回の首脳会議では議題にしない考えを示していますが、海外の記者に聞いてみると…

AFP通信の記者
「（アジア版NATOは）国際政治を大きく揺るがすだろう。世界にさらなる紛争をもたらすものであり、賢明だとは思わない。NATOとロシアの関係を見ればわかるでしょう」

現地では個別の首脳会談も行われました。日本時間の午後6時前、韓国の尹大統領と…

石破総理
「初めて対面でお会いできて光栄に思います。シャトル外交も活用しつつ、尹大統領と緊密に連携していきたい」

そして1時間半後には、中国の李強首相が石破総理を出迎える形で、初めての首脳会談が始まりました。

石破総理
「日中両国には協力の潜在性と課題・懸案があるが、両政府の努力を通じて両国民が関係発展の果実を得られるよう、共に取り組んでまいりたい」

緊張感の中…初の日中首脳会談　会談前は笑顔で握手

初めての日中首脳会談、どのような雰囲気だったのでしょうか。中島官邸キャップの報告です。

外務省関係者によると、会談は非常にピリついた緊張感の中、行われたということです。

会談が始まる前は、中国の李強首相が少し笑みを浮かべて握手を交わすなど、和やかな雰囲気もみられましたが、会談が始まると石破総理は、蘇州や深圳で日本人学校の児童の死傷事件に触れ、中国側に一刻も早い事実解明や日本人の安心・安全の確保を強く求めました。

これに対し、中国側は「個別案件だ」とする従来の主張をおこなうなど、互いに立場を譲ることはありませんでした。

さらに、石破総理は中国軍機による領空侵犯について十分な説明を行うよう求めるなど、日中間に残る様々な課題・懸案について互いに主張を戦わせていて、日中関係をどのように進展させていくのか、石破総理の手腕が今後問われていくことになります。