防衛マニア、プラモデルオタク、筋金入りの鉄道愛…知人ら語る自民党新総裁石破茂氏の素顔

5回目の挑戦が実を結び、自民党元幹事長の石破茂氏(67)が27日、新総裁の座を射止めた。「防衛マニア」の異名を持ち、プラモデルや鉄道を愛する「オタク」を公言する。「全身全霊を尽くす」。苦節を乗り越えた新しいリーダーはこの日、声を震わせ決意を語った。

サインに元防衛大臣

《元防衛大臣 石破茂》

東京・秋葉原にある同じ模型店に通うプラモデル仲間の経済アナリスト、森永卓郎さんは数年前、サインを求められた石破氏がこうしたためたことを思い出す。

石破氏は平成14年、防衛庁長官として初入閣。その後、省庁再編後に防衛相も務めた。離任から10年以上がたってなお、「一番思い入れのある仕事だったのだろう」。

戦闘機や戦艦の模型が〝推し〟。「模型店に行くと、店長から『この前、石破さん来ていたよ』と声をかけられる。ポーズでオタクを名乗る政治家もいるけれど、石破さんは本物。真正のオタクといって間違いない」(森永さん)

鉄道愛も筋金入りだ。昭和61年に当選した新人時代から、地元・鳥取との往来にJR東京駅と出雲市駅(島根県出雲市)を結んだ寝台列車を愛用。採算が取れずに鉄道の廃線も問題になっているローカル線の将来について、メディアで言及したことも。初代の地方創生担当相も務め、地方を大切に思う気持ちも強い。

稚内への招待を快諾

北海道芦別市でプロのプラモデル制作者として活動する熊谷武彦さん(59)は、稚内市で地元の模型クラブが平成27年に開いた作品展に無理を承知で石破氏を招いたところ、快諾してくれたことを振り返る。

「このキットは細部がよくできている」「あれは組み立てるのが大変なんだよね」。戦闘機、戦艦、自動車、オートバイ…。満面の笑顔で、300点以上ある作品を全て手に取って鑑賞し、付き添いの人にせかされても、会場にとどまり続けたという。熊谷さんは「心に余裕がないとできない趣味。そうしたものを享受できる、豊かで平和な社会をつくってほしい」と話した。

中国軍機の領空侵犯など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、防衛政策も重要なテーマだ。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「インテリジェンスの重要性を分かっていて、きちんとした情報を基に判断できる人だ」と語った。(宇都木渉、梅沢直史)

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