総裁選最下位の加藤勝信氏、議員票16票で推薦人数に届かず 5人が引きはがしか

27日に投開票された自民党総裁選で、加藤勝信元官房長官(68)は最下位の9位だった。国会議員票は本来、推薦人20人と自身を合わせて21票は獲得できるはずなのに、開票結果は16票。決選投票進出をかけた上位3候補の激しい議員票争奪戦の中、加藤氏の推薦人5人が引きはがされたとみられる。

投票直前の27日昼、党本部での「出陣の会」には推薦人20人がそろい、カツカレーを食べながら勝利を誓い合った。わずか1時間半後、16票という結果が出た。その後の「報告会」には17人が出席し、神妙な顔つきで加藤氏の敗戦の弁を聞いた。投票しなかった議員も出席したことになる。

加藤氏は恨み節は漏らさず、記者団に「皆さんいろんな事情がある中で支えていただいた。本当に感謝の言葉しかない」と語った。

加藤氏は、所属した旧茂木派から茂木敏充幹事長が出馬し、派閥単位の支援は得られず、地元・岡山県選出議員らが中核になった。推薦人集めに苦労し、他派閥の協力を得て告示2日前に出馬表明にこぎつけたため、全員の結束が強固だったとは言い難かった。

演説や討論会では「国民の所得倍増」を繰り返し、経済政策に精通したリーダー像をアピール。しかし「選挙の顔」を選ぶ今回の総裁選において、知名度不足が最大の弱点となった。(田中一世)

ジャンルで探す