他陣営からの支持「引き剝がし」警戒 自民総裁選、上位2人の決選投票念頭に仁義なき戦い

岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選(27日投開票)は過去最多の9氏の参戦に伴い、上位2人による決選投票となる公算が大きい。党員・党友票が26日に締め切られたことを受け、水面下では決選投票権を持つ国会議員の支持を他陣営から引き剝がす動きが活発化している。

「ドジャースの試合で大谷翔平が盗塁する場面を見ていた。国会議員票をとったり、とられたりはどこの陣営でもあるだろう」。高市早苗経済安全保障担当相を支援する自民重鎮は26日、記者団に淡々とこう述べた。

各種世論調査では次期総裁候補のうち、小泉進次郎元環境相や石破茂元幹事長、高市氏に人気が集中しており、他の6氏は手を突っ込まれないか警戒を強めている。

小林鷹之前経済安保担当相の陣営関係者は「議員の引き剝がしに剛腕や長老がうごめいている。総裁選で『党の刷新』と言っているのに、昭和の政界に逆戻りするような動きだ」と皮肉る。

決選投票を意識する小泉氏の選挙事務所には支援議員による「血判状」が掲げられ、陣営関係者は「あれを書いておいて他の陣営には移れないだろう」と強調する。

もっとも、引き剝がされる不安は強者も共有している。

26日の小泉陣営の昼食会に参加した若手議員は、総裁選前日の開催を念頭に、「少しでも接触の機会を増やして『囲い込み』たいのだろう。逆に小泉陣営は若手が多く、引き剝がすために必要な政局は苦手だ」と語った。

一方、党内最大勢力だった旧安倍派の参院議員グループ「清風会」は26日、国会内で意見交換を行った。メンバーの多くは誰を支持するか明らかにしておらず、各陣営の注目を集めている。

出席者によると、一回目は自主投票と決定。決選投票の対応は未定だが、ベテラン議員は「阿吽(あうん)の呼吸はあるのではないか」とつぶやいた。

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