露軍機の領空侵犯「挑発的行動」と防衛省分析 中国と連係、対潜水艦訓練か

木原稔防衛相は24日の記者会見で、ロシア軍哨戒機による日本の領空侵犯について、3度にわたって領空に侵入したことや侵犯後2時間以上も周辺空域にとどまっていたことから「挑発的な行動と考えてもおかしくない」との分析を示した。防衛省内にはロシア側の目的に関し、哨戒機の飛行経路などから中国軍との合同演習に関連した対潜水艦戦の訓練だったとの見方が浮上している。

同省によると、ロシア軍の哨戒機IL381機は23日午後1時台から同3時台にかけて、北海道・礼文島付近の領空に3度、侵入した。緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の戦闘機は、警告のため「フレア(火炎)」を対領空侵犯措置としては初めて発射した。

ロシア軍機は、最後に領空を出た同3時43分以降、同5時50分ごろまで2時間以上も周辺の空域を飛行した。林芳正官房長官は記者会見で「3回にわたり同一機が領空侵犯を繰り返し、さらなる侵犯発生も懸念されるという特異な状況だった」と指摘した。

ロシア軍機は礼文島の北側の海域上空に西側から接近。日本領空を侵犯し、大陸方面へ向かうまでの間、碁盤の目を描くような飛行ルートをたどった。海上自衛隊トップの斎藤聡海上幕僚長は記者会見で「何らかの捜索を行っていると考えられる。対潜戦の訓練でこういうルートを取ることがある」との見解を示した。

防衛省は、ロシア軍機がミサイルなどを収納する爆弾倉を開いて飛行するのを確認しているが、「攻撃などの危険な動作は認められなかった」(木原氏)としている。

日本の防空態勢を探る目的だった可能性も指摘されている。ロシアは過去にも同様の目的で領空侵犯を行ってきた。ウクライナ侵略に伴う日本の経済制裁にも反発してきた上、最近は米国が日本に中距離ミサイルを配備する可能性があると主張。こうした日本敵視も背景にあるとみられる。(小沢慶太、小野田雄一)

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