外交が危ない!? 自民総裁選の余波、10月の日程に不確定要素 欠席すれば喜ぶのは中国

自民党総裁選(27日)のあおりで秋の外交日程が不透明になっている。衆院の早期解散論が浮上し、新たな首相が10月上旬の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議を欠席する可能性が出てきたためだ。ただ、新首相が出席を見送れば日本は存在感を示せず、ASEAN諸国への影響力拡大を狙う中国を喜ばせる結果となりかねない。外務省関係者は新首相の判断にやきもきすることになりそうだ。

「出席しないことなんて、あるんですかね…」

9月中旬のある日、外務省幹部は、ASEAN関連首脳会議への新首相の出席を巡り、こうつぶやいた。

今年のASEAN関連首脳会議は10月6~11日にラオスで開かれる。日ASEAN首脳会議やASEANプラス3(日中韓)首脳会議など、日本が関係する会議は10、11両日に開かれる見通しだ。外務省によると、これらの会議には日本の首相が必ず出席してきた。

だが、今年は雲行きが怪しくなっている。総裁選有力候補の小泉進次郎元環境相が「できるだけ早期に衆院を解散し、国民の信を問う」と明言したこともあり、衆院選が最短で10月15日公示、27日投開票となるとの見方もある。

岸田文雄首相の後継を選出する臨時国会は10月1日に召集される方向だ。27日投開票の場合、解散日として想定されるのは、所信表明演説や衆参両院での代表質問後の9~11日で、ASEAN関連首脳会議と日程が重なる。衆院解散のタイミング次第ではラオス出張自体を見送るか、一部参加にとどめるか、外交と内政(選挙)をてんびんにかけた政治判断が必要となる。

米国のバイデン大統領は昨年に続き今年もASEAN関連首脳会議への出席を見送る公算が大きいが、昨年、代理で出席したハリス副大統領も米大統領選の候補者となったため出席は困難視されている。そうした中で日本の首相も欠席すれば、李強首相の出席が想定される中国が存在感と影響力を高める可能性がある。

新首相の外交日程を巡り、外務省幹部は初外遊としてのラオス訪問を期待しつつ、「あらゆることを考える」と語る。(原川貴郎)

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