警告射撃過去1例のみ 領空侵犯は旧ソ連・ロシア機が大半

日本の領空を侵犯した外国機に対しては、緊急発進した自衛隊の戦闘機や地上の基地から無線を送り、まずは領域からの退去を促す。外国機による領空侵犯は、公表分だけで過去に50件近く発生したものの、自衛隊機によるフレアの発射は初めて。実弾による警告射撃もわずか1件にとどまっており、今回起きたロシア軍機による侵犯の重大性がうかがえる。

自衛隊法84条は、領空侵犯機に対し「これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる」と規定。領空侵犯機が無線での警告に従わない場合、自衛隊機が警告射撃を実施したり、強制着陸を命じたりすることができるとされる。正当防衛や緊急避難に該当しない限り、気球などを除いて撃墜はできない。

防衛省の公表資料によると、昭和42年8月から昨年10月までの間に、外国機による領空侵犯は計46件確認され、大半が旧ソ連もしくはロシアの軍用機だった。

自衛隊側が外国の軍用機を強制着陸させた例はないが、警告射撃は昭和62年に1度だけ実施。同年12月、旧ソ連の偵察機が沖縄本島の米軍基地上空などを飛行。自衛隊側の退去通告に応じなかったため、航空自衛隊のF4戦闘機が偵察機に危害を加えないことを前提に、曳光弾など数百発を発射した。

日本側の抗議に対し旧ソ連側は、故意を否定した上で悪天候や計器故障などが原因だったと発表している。

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