風力発電は洋上を推進、山間部は環境配慮で「辛口」 和歌山、知事が議会で言及

和歌山県の岸本周平知事は18日、県議会定例会で、洋上風力発電事業を推進する考えを示した。現在、白馬(しらま)山脈などで計画中の風力発電に関しては環境への影響を理由に「計画の再考」などを求める厳しい知事意見を示しており、県が推進する風力発電事業が山間部から洋上へシフトしていることを印象付けた。

「地産地消で大量導入が可能な再生可能エネルギーとして重要な選択肢」。県議会の一般質問で洋上風力発電への認識を問われた岸本知事は、そう回答した。「成長産業誘致集積の大きな推進力になる」「工事や部素材の製造で地元企業の活躍が期待できる」とも述べ、「極めて挑戦する意義の大きな事業」との考えを強調した。

県の周辺海域を「近畿圏では随一のポテンシャルの高い地域」(岸本知事)としており、今年度は、漁業上の課題の抽出や対策の整理などを行う検討会を県漁業協同組合連合会と設置したことなど事業の進捗(しんちょく)について説明。「実現に向けて県の経済の成長の芽になるよう取り組んでいく」と答弁した。

県内では7つの風力発電事業が計画中。このうち8月末には御坊市と広川町、日高町、日高川町にわたる「新白馬風力発電事業(仮称)」の環境影響評価の方法に対し、「事業規模縮小も視野に、事業計画全体の見直しを積極的に進めること」とする厳しい内容の知事意見を公表した。

今月12日には、有田川、日高川の両町の白馬山脈で計画中の「DREAMWind 和歌山有田川・日高川風力発電事業(仮称)」の環境影響評価準備書に対し、「重大な環境影響を回避、低減できない場合、事業廃止を第一歩として計画の見直しを」とする知事意見も公表した。

18日の県議会でも新白馬風力発電事業について岸本知事は「事業計画の西側部分は未開発の森林。重大な環境影響が懸念される」と指摘。「再生可能エネルギーの導入には積極的に取り組んでいくが、環境との調和が必要」と述べた。

ジャンルで探す