和歌山・北山村の観光筏下りが審査員特別賞 ジャパン・ツーリズム・アワード

全国唯一の飛び地の村・和歌山県北山村の事業「北山川観光筏(いかだ)下り」が、ツーリズム(観光や旅行)の発展・拡大に貢献した優れた取り組みを表彰する第8回「ジャパン・ツーリズム・アワード」で審査員特別賞を受賞した。

北山村は三重県と奈良県に囲まれた山間部にあり、16世紀ごろ、村内を流れる北山川で、周辺で育つ木材を筏で運ぶ「筏流し」が始まったとされる。輸送の中心がトラックとなったことなどから昭和38年に途絶えたが、54年に観光客らを乗せて筏師が操舵する「北山川観光筏下り」がスタートした。例年5~9月に同川の約6キロで運航し、7千人程度が利用している。

ジャパン・ツーリズム・アワードは日本観光振興協会、日本旅行業協会、日本政府観光局が実施。今回は119件の応募があり、関係者でつくる審査団の選考で、国土交通大臣賞、経済産業大臣賞、観光庁長官賞などを決定。「北山川観光筏下り」は「筏流し文化の継承と観光産業への転換~小さな村の観光筏下り事業~」で審査員特別賞を受賞した。審査員は「筏師の伝統技術を観光コンテンツとして生かすことで、雇用と技術の継承・育成につなげようというアイデアは興味深い」と評価した。

泉清久村長は「今年で45周年を迎えた村独自の観光事業が評価されたことはとても喜ばしく、伝統文化を観光という形に変えて継承してきた筏師さんたちのおかげ」とコメントした。

表彰式は26日に東京で開かれる「ツーリズムEXPOジャパン2024」のオープニングセレモニーで行われる。

同村で受け継がれてきた筏流しの技術は昨年5月、「北山川の筏流し技術」として日本森林学会の林業遺産に認定された。

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