「請願書」署名偽造問題 千葉市議会が維新系2市議に辞職勧告、全会一致で可決

千葉市議会の会派「日本維新の会・無所属の会」の市議らが、市民の請願書の署名を偽造していた問題で、市議会は17日、請願書の作成に中心的に携わった同会派の桜井崇市議と大平真弘市議に対する議員辞職勧告決議案を可決した。法的な拘束力はない。2人は取材に対し、事実関係について争う考えを示し、現段階で辞職の意向はないとした。

自民、立憲民主・無所属、公明、日本共産党4会派が桜井市議に、日本共産党を除く3会派が大平市議に「社会の信頼を失墜させ、地方自治の運営を揺るがしかねない悪質極まりないものだ」として議員辞職勧告決議案を提出。採決の結果、いずれも全会一致で可決された。千葉市議会での議員辞職勧告決議案の採決は、平成19年以来。

請願書は市の提案に賛成する討論を行う際、市が議員に原稿案を提供することをやめるよう求める内容。請願者本人による署名のない場合は無効となるが、桜井市議は、「請願者」本人に意思確認することなく自筆で署名し、完成した文書を提出前に「請願者」に見せることもなかった。大平市議も「請願者」への意思確認をせず、自分で収集した情報をもとに請願書を執筆し、8月28日に議会事務局に提出した。

偽造は他会派からの指摘で発覚。桜井氏は当初、署名は「本人のもの」と説明していたが、11日になり自筆を認めた。

決議案可決後、取材に応じた桜井市議は議会の混乱を招いたことを謝罪。その上で「『請願者』に内容まで説明して承諾を得たものと確信しているが、双方の認識に齟齬(そご)があった。代理署名は法的に有効で、偽造ではない」と持論を展開した。

大平市議は「請願者」の署名について、桜井市議の自筆であったことは「知らなかった」とし、偽造の関与を否定。市議会で弁明の機会がないことに不満を示し、弁護士と今後の対応を協議する考えを示した。

2人はいずれも会派を離脱し、大平市議は離党勧告を受け入れるという。

神谷俊一市長は「市民の代表者である市議が、法令に基づく請願の手続きにおいて不正を行ったことは、制度の根幹を揺るがし、政治への信頼を失わせるものであり、大変残念。議員の進退は本人が適切に判断すべきものだ」とコメントした。(松崎翼)

ジャンルで探す