自宅付近以外での性被害も助成対象に 東京都の犯罪被害者を対象とした転居費用助成

東京都は10月から、都内在住の犯罪被害者に対する転居費用の助成制度の対象を拡充する。性犯罪についてはこれまで自宅付近で被害があった場合に限定されていたが、被害場所が自宅から離れていても都内であれば、転居費用助成の対象となる。

内閣府が行った「男女間における暴力に関する調査」(令和5年度)によると、不同意性交などの被害者のうち、加害者との関係で多いのは交際相手や元交際相手、職場・アルバイト先の関係者などが続き、加害者のことを全く知らないケースは約10%にとどまる。

そのため自宅付近で被害に遭っていなくても、加害者に自宅を知られている場合があり、被害後も自宅に住み続けることに抵抗感を抱く人は多いとみられる。また、被害を近隣に知られて住みづらい、職場や環境を一新したい-との声があがることもある。

都が元年度に実施した調査では、性犯罪被害後の生活上の変化として転居を挙げた割合は、それ以外の犯罪被害と比べて約2・3倍高いとの結果が出た。

今回の要件緩和によって、連れ込まれたホテルや加害者宅など、自宅付近でない被害の場合でも助成対象となる。助成額は転居などにかかる費用の実費のうち最大20万円。都の担当者は「性被害に遭ったときに誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまうケースも多い。都ではLINEでの相談受付や、警察や病院への同行支援も実施しており、被害者の負担にならないようなサポート体制を備えている。ぜひ一度相談してほしい」としている。

都では犯罪被害者支援として、見舞金給付や無料法律相談、被害者参加制度における弁護士費用の助成なども実施。詳細は都の相談窓口(03・3222・9050)や都のホームページへ。(當銘梨夏)

ジャンルで探す