皇族数確保、麻生太郎氏らが早期結論に意欲 立民の対応が焦点

男系男子による皇位継承の維持を訴える「皇室の伝統を守る国民の会」(会長、山東昭子前参院議長)の総会が2日、東京都内で開かれ、皇族数の確保と安定的な皇位継承をめぐり、男系男子孫の養子案の具体化などを柱とする活動方針を決定した。こうした課題に関する与野党協議が足踏みする中、挨拶に立った自民党の麻生太郎副総裁ら主要政党の幹部は早期の結論に意欲を示した。

皇族数の確保策をめぐっては、政府の有識者会議が令和3年に取りまとめた報告書で、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持できる案、養子縁組による旧皇族の男系男子の復帰案などを打ち出した。

2日の同会の総会では「皇統に属する男系男子孫の養子案の具体化は喫緊の重要課題」「女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する場合は歴史の重みを尊重すべきだ」などと定めた活動方針案が示され、出席者の拍手で了承された。

一方、国会の動きは停滞している。衆参両院は先の通常国会で、有識者会議の報告書をベースに立法府の意見集約に向けた与野党協議に着手した。ただ、個別論点で自民と立憲民主党との溝が埋まらず、当初、目指した会期中の意見集約を断念。閉会後は額賀福志郎衆院議長らが各党派から個別に意見を聴取している。

とはいえ、安定的な皇位継承に資する皇族数の確保は急を要する。

麻生氏は総会で「静謐(せいひつ)な環境の中で、真摯(しんし)な協議を重ねて、立法府の総意を築き上げていくことこそ各党派に課せられた責任だ」と指摘した。立民の野田国義参院議員も「丁寧な議論を通じて立法府の総意を作っていくことに貢献していきたい」と語った。

意見集約の鍵を握るのは立民だ。3月にまとめた論点整理では前例がない「女系天皇」の誕生を促しかねない「女性宮家」創設に言及。その一方で男系継承を念頭に置いた「歴史と伝統の尊重」とも明記した。他の主要政党は有識者会議の報告書に沿って男系継承を重視する見解をまとめており、野党第一党の対応が焦点となりそうだ。(内藤慎二)

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