<独自>スマート農業補助へ新制度 首相、29日に表明 AI活用し生産性向上

政府は人工知能(AI)やドローン(無人機)などの先端技術を活用した「スマート農業」の普及に向け、機器を導入する生産者らに対する新たな支援制度を創設する方針を固めた。複数の政府関係者が28日、明らかにした。岸田文雄首相が29日に視察先の山梨県で表明する。先の通常国会で成立した「スマート農業法」に基づく措置で、今後5カ年を「農業構造転換集中対策期間」と位置付け、農業の生産性向上を支援する。

農業従事者は今後20年間で現在の116万人から30万人まで減少することが見込まれている。生産性の高い食料供給体制を維持していくためには農作業の効率化が喫緊の課題となっており、先の通常国会では、今後の農業政策の方向性を示す改正食料・農業・農村基本法とともにスマート農業法が成立した。首相はこの機に、スマート農業技術を大幅に促進し、生産性向上を目指す考えだ。

具体的には、AIなどの活用で農作物の温度管理に取り組んだり、収穫ロボットや収量センサー付きのコンバインなどを導入したりする生産者への支援を検討する。必要経費は来年度予算で措置するが、今秋に経済対策が策定された場合は前倒しする可能性もある。

首相は今年5月、東京都内での会合で農業の生産性向上に向け、「最先端のスマート技術の導入、さらには生産現場の努力が報われる価格転嫁の仕組みづくりを体系的に進める」などと意欲を示していた。

今回の山梨県への視察では、北杜市などを訪問し、すでにAIをトマト栽培などに活用している生産者らと面会する予定だ。

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