<独自>千葉県、国の7年度予算編成で90件を重点要望へ 多様性尊重の社会実現求める

千葉県は国の令和7年度予算編成に向けた重点提案・要望事項計90件をまとめた。近く公表する。前年度よりも8件増えた。熊谷俊人知事の肝いりで、元日に施行された「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」を前進させるため、国に対し、多様性が尊重される社会の実現に向けた取り組みを急ぐよう求める。

「大規模災害」「人材不足」など3項目要望

重点提案・要望のポイントは3つ。

まず、房総半島が能登半島と同様に半島の地形で、救援時に必要な交通アクセスが限られることを踏まえ、「大規模災害を踏まえた対策の強化」を求める。

国として広域避難に関わるスキームを構築し、孤立集落対策や河川や海岸での津波、高潮、耐震、水害対策を推進するよう訴える。

2点目は、交通や物流、医療・介護といった「幅広い分野の人材不足への対策」を求める。物流における安定した輸送力、地域公共交通の維持・確保に加え、必要な病床の確保数などをめぐり、次期地域医療構想を柔軟に見直せるような仕組み作りを要望する。

3点目では「子育て・教育施策の充実」「県内経済の活性化や医療・福祉の充実」「脱炭素化の推進」といった、本県だけでは対応が難しい事項で国の緊急かつ重点的な対応を求める。

多様性尊重のため国に基本計画求める

「多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の実現」もその1つだ。

県はLGBTといった性的少数者に関連し、「性的指向」(性愛の対象が男か女か両方か、いずれでもないか)や、性は自分で決められるといった「性自認」などの問題は「全国的な課題である」との問題意識を持っている。

性的少数者への差別の実態や直面する困難な問題などは国が全国的に現状を調査し、地方公共団体にも共有すべきだと訴える。

また、県が多様性を尊重する条例に基づき、今後、効果的に必要な施策を進めるためにも、昨年6月に国会で成立した性的少数者への理解増進法に基づき、国が「基本計画」を「早急に策定されることが求められる」としている。

一方で、同条例の制定過程では戸籍上は男性でも、女性だと自認するトランスジェンダーの人の公衆浴場や男女別トイレの利用で不安の声が多数寄せられた。

こうした不安の声を払拭し、全ての国民が安心して生活できるよう、国に対し理解増進法に基づく「指針」も早急に策定し、国民に周知すべきだとも訴える。

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