岸田首相が早期の自公合意を指示 焦点の政治改革、維新には旧文通費で秋波

岸田文雄首相(自民党総裁)は6日、南米などの歴訪から帰国した直後に公邸で自民政治刷新本部メンバーと面会し、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革への意欲をアピールした。特に必要性を強調しているのが日本維新の会が重視してきた「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途公開だ。政治改革を巡る野党間の連携にくさびを打つ狙いも透ける。

首相は4日夜(日本時間5日午前)のブラジルでの記者会見で、6日に政治刷新本部のメンバーと面会する意向や旧文通費改革への意気込みなどに言及した。側近は「(政治改革を)できる限り早くやるという姿勢を見せているのではないか」と漏らした。

首相は帰国したその足で公邸で政治刷新本部の法整備に関する作業部会の鈴木馨祐座長、大野敬太郎事務局長と面会。鈴木氏は記者団に「(いわゆる『連座制』など)自公両党間の協議内容について報告した。なるべく早く自公で合意にいたれるようにと指示をいただいた」と説明した。

政治改革は政治資金規正法改正のほか、国会議員に月額100万円が支給される旧文通費のあり方も主要テーマだ。使途公開については自民内で「自由に使えなくなる」などと慎重論が根強かった。しかし、首相は4月24日の参院予算委員会で、使途公開に向けた歳費法改正について「この国会で結論を出せるように、各党と議論を行っていく」と表明した。

旧文通費改革に踏み込んだ背景に関して閣僚経験者は、政治改革を巡る与野党協議の場で「維新の協力を得たい考えもあるのでは」と解説。野党各党が自民の政治改革案に厳しい視線を向けている中、維新の主張に耳を傾けることで自陣に引き込むという戦略だ。

維新側は首相の意気込みを高く評価している。 維新関係者は「立憲民主党は『自民は政治改革に後ろ向きだ』と批判したいがために高いボールを投げ続けている。旧文通費改革を自民以上に嫌がっているのは立民だ」と主張。その上で「首相は維新と一緒に旧文通費改革を断行した後、衆院解散・総選挙に踏み切ればいい」とも語った。(今仲信博、永井大輔)

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