広がる巨大IT企業の寡占防止〝包囲網〟 EUは規制法運用、米はGAFA全て提訴対象に

政府が26日閣議決定した「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案スマホ新法)」は、巨大IT企業への規制を強化し、アプリストアや決済システムの運営を競合他社に解放することなどを義務付ける内容だ。同様の規制は欧州連合(EU)が先行しており、自社サービスの優遇を禁じる「デジタル市場法」を3月に全面適用している。同月には米司法省が米アップルを独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで提訴しており、GAFA(ガーファ)と呼ばれる米巨大IT企業によるデジタル市場の寡占防止の動きが世界で広がる。

EUが本格的な運用を始めた「デジタル市場法」では、運営サイトなどでの自社サービスの優遇のほか、利用者の同意なくデータを収集して興味関心に沿った「ターゲティング(追跡型)広告」を行うことを禁止。重大な違反には年間売上高の最大10%、繰り返した場合は最大20%の制裁金を科すことができる。

規制対象は、EU域内の月間利用者数4500万人以上、域内の年間売上高が75億ユーロ(約1兆2200億円)で、GAFA以外にも中国系動画アプリ「TikTok」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)などの22のサービスが指定されている。

一方で米国では同様の規制はないものの、巨大IT企業を相手取った訴訟が盛んに行われている。3月には米国の公正取引委員会に当たる司法省反トラスト局が、iPhone(アイフォーン)と関連ソフトウエアに競合他社がアクセスすることを妨害したとてアップルを反トラスト法違反の疑いで連邦裁判所に提訴した。

司法省などは、検索サービスやネット広告事業を巡ってグーグルを反トラスト法違反で既に提訴している。米連邦取引委員会(FTC)などは米メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・コムをそれぞれ反トラスト法違反で提訴しており、アップルが提訴されたことでGAFAの全てが独禁法訴訟の対象となったことになる。

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