千葉の「消滅可能性」自治体は銚子など22市町 ちばぎん総研「移住したい拠点作りを」

民間有志でつくる「人口戦略会議」が24日に公表した地方自治体の持続可能性に関する報告書で、千葉県内では人口減少が深刻化する「消滅可能性自治体」に、銚子市や勝浦市、栄町や神崎町など22市町が該当することが明らかになった。人口減対策は待ったなしだ。

報告書では2020(令和2)から50(同32)年までの30年間で、20~39歳の若年女性が半数以上減る自治体を「消滅する可能性がある」と定義した。県内では北総から外房エリアに位置する自治体が多い=地図参照。

10年前に将来人口推計を踏まえ、県内で消滅する可能性があると公表された自治体は「千葉市花見川区」を含む27市区町だったが、今回は、君津市や睦沢町など5市区が外れた。

10年前に続き、消滅可能性があるとされた銚子市の若年女性人口の減少率は2050年までに67・5%にもなると推計した。

市によると、現在の人口は約5万2千人で10年前と比べ約20%減ったが、若年女性は約37%減とさらに高い割合で減少した。市の担当者は「人口減対策で若い世代が望む職場の提供に官民で取り組んだが、うまくいかない」とこぼした。

南房総市の座間好雄総務部長も「残念ながら消滅可能性自治体から脱却できていない。今後の対策として移住・定住施策をさらに進めたい」と語った。市は今年度から、移住した子育て世帯への家賃補助支援といった関連政策の拡充に乗り出している。

多古町は2050年までに若年女性人口の減少率が55・3%、人口は1万人を割ると推計されている。町の担当者は「子育て世帯や若者への経済的支援にも力を入れているが、自治体の頑張りだけでは限界がある」と嘆く。

ただ、手をこまねいてはいない。民間と協力して移住を希望する子育て世帯の受け皿となる「子育て支援住宅」を用意した。防音構造や学校やスーパーマーケットが近く、計12世帯分を用意したところ、7月の入居開始前に満室となった。

一方、100年後も若年女性が5割近く残ると同会議が定めた「自立持続可能性自治体」には県内で流山、印西両市が入った。

流山市は平成17年のつくばエクスプレス(TX)開業を追い風に、人口が急増している。若年女性の人口増加率は2・4%と推計され、県内市町村では唯一のプラスとなった。

人口が減れば社会全体の活力がそがれる。県は3月に策定した、令和9年度までの地方創生総合戦略で示した人口ビジョンで「県全体は(周りの都県からの転入者が転出者を上回る)社会増だが、地域差が大きい」と分析。「出生数が減少していることから子育て環境の充実が必要」と指摘した。熊谷俊人知事は2月8日の記者会見で「人口が仮に減少しても緩やかにすることで、社会として、また、住む人々に暮らしやすい千葉県を作ることが大事だ」と語った。

ちばぎん総合研究所の福田宏治上席研究員の話

「交通の利便性が高くはないエリアに、消滅が懸念される自治体が多い。かつては製造業が集まっていた地域が労働力を吸収し、人口減少の一定の歯止めになっていたが、それも利かなくなった。一方で都心へのアクセスが良い自治体は人口が増えている。中長期的には出生率が上がらない限り、消滅自治体の数は加速度的に増えるだろう。地域の魅力をいかし、若者が移住したいと感じられる拠点を北総や外房に複数箇所作れるかどうかが人口減少のトレンドを緩和する鍵となる」

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