【自民党総裁選で巻き起こる「高市早苗現象」】対中国政策で岩盤保守層から固い支持 「石丸現象」の仕掛け人は「外からステルスで支援」

高市早苗氏、急進の原動力は?(時事通信フォト)

 自民党総裁選は世論調査で人気の高かった小泉進次郎・元環境相と石破茂・元幹事長の一騎打ちと見られていたが、告示後に構図が激変した。高市早苗・経済安保相が党員・党友の支持を急速に拡大させているからだ。その勢いに、永田町や霞が関の住人たちは“理解不能”だとパニックに陥っている。【全3回の第1回】

【写真】“石丸現象”の仕掛け人も密かに高市早苗氏をバックアップ 選挙プランナー・藤川晋之助氏

“石丸現象”と同じ流れ

 新聞・テレビは総裁選の世論調査を大きく報じているが、自民党員・党友への情勢調査で高市氏が2位(読売、NNN)につけると、自民党内に衝撃が走った。

 誰の推薦人でもない自民党の中間派議員が語る。

「高市さんは安倍晋三・元総理という後ろ盾を失っているから勝てないだろうと推薦人集めにも苦労し、裏金問題を抱える議員を13人も入れて何とか出馬にこぎつけたほど。が、フタを開けるとネットで爆発的な支持を得ている高市さんが党員・党友の間で勢いを増し、党内は予想外の事態に驚いている。高市さんを見る目が変わってきた。“高市現象”が広がれば、まさか、があり得る」

 高市氏は「日本列島を強く、豊かに」をキャッチフレーズに、「防衛力・外交力・情報力強化」などを掲げた。

 急進の原動力はネットでの圧倒的な支持だ。

 SNSには、〈安倍晋三さんの遺志を継ぐのは高市早苗さんだけ〉など、安倍氏の後継者としての高市氏を応援する書き込みが溢れ、なかには、〈自民党という政党は応援しない。高市早苗という1人の政治家を応援する〉という内容も。

 安倍氏の死後、勢いを失ったと見られていた岩盤保守層の存在感に驚かされる。

 高市氏の支持がネットから党員・党友へと拡散しているのは、東京都知事選でネットから支持を広げ、165万票を獲得した石丸伸二・前安芸高田市長の姿と重なる。

“石丸現象”の仕掛け人の選挙プランナー・藤川晋之助氏も密かに高市氏をバックアップしていた。

「私は高市選対に加わって活動しているわけではなく、外からステルスで支援しています。今回の総裁選は確かに石丸現象と同じ流れが出てきた。最初は進次郎、石破茂の戦いになると見られていたが、告示後すぐ高市が伸びてきて党員・党友の支持率で進次郎を追い抜いた。私としては終盤に逆転する流れと考えていたが、予想より高市支持の広がりが早い。しかも、総裁選は都知事選と違って2位に入れば決選投票に進める」

 保守・現実派の論客で作家・ジャーナリストの門田隆将氏は高市氏が岩盤保守層の支持を固めた理由をこう語る。

「今回の総裁選の最大課題は中国。中国で子供たちに反日教育が行なわれ、日本人を神の元に送れ、と核攻撃を主張する動画まで中国版SNSにはあふれています。また、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内にブイを設置し、中国空軍機の領空侵犯もあった。

 しかし、岸田政権はブイの撤去もしないし、領空侵犯についても外務省の局長が中国大使館の公使に懸念を伝えただけ。だが、高市氏は閣僚ながら『局長から公使への抗議だけで終えて良い話ではない。総理、外務大臣、防衛大臣から厳重抗議し、再発防止を約束させなければならない』と求めた。総裁候補のなかで中国と対峙できるのは高市氏だけで、他は媚中派ばかり。

 加えて、高市氏は過剰な権利意識を改める重要性など本来あるべき日本人の姿をしっかりイメージしている。総裁選は“高市vsその他”の構図。我々は高市氏の勢いをわかっていたが、マスコミがそこを意図的に“無視”していただけのことです」

第2回に続く

※週刊ポスト2024年10月4日号

ジャンルで探す