「トランプ会談」仕切り直し=自信暗転、石破首相に痛手

石破茂首相は21日までの南米訪問に合わせたトランプ次期米大統領との会談を断念した。日本側は米側も前向きだと自信をのぞかせていたが、米国内法などを理由に断られる形となった。首相は来年1月20日の就任式後の会談を目指して仕切り直しを図るが、調整が円滑に進むかは見通せない。
「なるべく早期に会談を実現すべく、トランプ陣営側と意思疎通を続ける」。林芳正官房長官は18日の記者会見でこう強調した。
日本側がトランプ氏と就任前の会談を目指したのは、安倍政権時代の「成功体験」があったからだ。安倍晋三首相(当時)は2016年の大統領選後、各国首脳に先駆けてトランプ氏と会談。大統領選中に在日米軍撤退まで示唆していたトランプ氏といち早く親密な人間関係を築いた。
その再現を狙った石破首相は7日の初の電話会談で、早期の対面会談を調整することを確認。南米からの帰途に米国に立ち寄り、会談に臨む日程を描いた。臨時国会の召集を25日から28日にずらしたのも帰国の遅延に備えたためだった。外務省幹部は「可能性は結構ある」と語っていた。
しかし、調整は難航した。日程が決まらないまま、首相は14日に外遊に出発。首相周辺は「外遊中も調整を続ける」としていたが、米側から色よい返事はなかった。首相は16日、記者団に「給油のためにロサンゼルスに寄るが、その際に会談の予定はない」と表明せざるを得なかった。
米国には民間人の外交交渉を禁じた「ローガン法」がある。首相は会談見送りの理由について「多くの面会依頼が寄せられ、法律上の制約もある」との説明をトランプ氏側から受けたとする。
ただ、外交問題に詳しい自民党議員は「日本政府は首席補佐官に就任するスーザン・ワイルズ氏と接触できず、日程を入れられなかったようだ」と語る。政府内では「トランプ氏に相手にされていないということだろう」(関係者)と厳しい見方も出ており、首相の痛手は避けられそうにない。
首相はトランプ氏の就任後、来年2月を軸に会談実現を目指すとみられる。外務省幹部は「8年前とは状況が違う。落ち着いた環境で会えればいい」と指摘する。ただ、石破政権は先の衆院選で少数与党に陥っている。25年度予算案の国会審議のさなかに日本を離れられるか、不透明感も漂う。



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