自民総裁選、9氏の争いに=上川氏が出馬表明―12日告示

自民党総裁選候補の顔触れ



自民党総裁選は12日告示され、15日間の選挙戦がスタートする。上川陽子外相(71)は11日に記者会見し、出馬を表明。女性2人を含む計9人による争いの構図が固まった。立候補者数は1972年以降で最多となる。総裁選は派閥解消方針を決めた後では初めて。石破茂元幹事長(67)や小泉進次郎元環境相(43)らを中心に、決選投票も見据えた選挙戦が展開されそうだ。
派閥裏金事件を受けた政治改革や「党の刷新」が最大の争点。石破氏らに加え、加藤勝信元官房長官(68)、河野太郎デジタル相(61)、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)、高市早苗経済安保担当相(63)、林芳正官房長官(63)、茂木敏充幹事長(68)が出馬する。
上川氏は会見で「首相として難問に立ち向かい、徹底した説明責任を果たす」と強調。建設中のリニア中央新幹線の品川―名古屋間について「2027年以降とする開業の前倒しを後押しする」と語った。裏金関係議員への対応では「選挙区支部長は公認するルールにのっとるのが基本だ」と指摘。選択的夫婦別姓制度に関し「国民対話の中で一致した思いでつくり上げるのが大事だ」と述べ、賛否を明確にしなかった。
上川氏は初挑戦で、衆院静岡1区選出の当選7回。岸田文雄首相が会長を務め、解散した岸田派に所属していた。
石破氏は11日、陣営の会合に出席。約15人のメンバーを前に「自分たちのためではない、日本国のためにこの選挙を勝ち抜く」と語った。小泉氏は視察先の新潟県長岡市で記者団に「勝利を勝ち取れるようまっしぐらに思いを伝えていきたい」と力を込めた。高市氏は衆院議員会館を回って支援を訴え、小林氏は経済安保に関する新著を発表した。
一方、野田聖子元総務相は会見で、出馬断念を表明。小泉氏の申し出を受けて推薦人になると明かし、「夫婦別姓を1年以内に決着をつけると明言した。若い人に担ってもらいたい」と説明した。斎藤健経済産業相も記者団に「撤兵する」と述べた。



◇上川氏会見ポイント
一、難問に立ち向かい、説明責任果たす
一、リニア中央新幹線の開業前倒し
一、裏金議員公認「ルールにのっとる」
一、選択的別姓、賛否明確にせず

◇上川陽子氏の歩み
1977年3月東大教養学部卒
4月三菱総合研究所研究員
88年6月米ハーバード大院修了
12月政策コンサルタント会社を設立
2000年6月衆院選に無所属で初当選
07年8月安倍内閣で少子化担当相として初入閣
08年2月福田内閣で初代公文書管理担当相
14年10月安倍内閣で法相
17年8月安倍内閣で法相再任
20年9月菅内閣で法相
23年9月岸田内閣で外相
24年9月総裁選初出馬を表明



◇総裁選候補の主な動き
▽石破茂元幹事長
陣営会合で「日本のためにこの選挙を勝ち抜く」。福島県会津若松市で講演会
▽加藤勝信元官房長官
民放番組で「培ってきた力を全力で投入したい」。報道各社のインタビューも
▽上川陽子外相
国会近くのホテルで出馬会見。「難問から逃げない。国民と新たな日本を築く」
▽小泉進次郎元環境相
新潟県長岡市を訪れ、稲刈り体験。記者団に「真っすぐ思いを伝えていきたい」
▽河野太郎デジタル相
SNSに「予備自衛官を活用した災害対応部隊を自衛隊に創設したい」と投稿
▽小林鷹之前経済安全保障担当相
千葉県議会の党議員総会に出席し、「経済政策を前面に出して戦っていきたい」
▽高市早苗経済安保担当相
議員会館などをあいさつ回り。記者団に「勝ちにいく強い気持ちで駆け抜ける」
▽林芳正官房長官
都内の日本建設業連合会などを訪れて支援要請。記者団に「堂々と論戦を行う」
▽茂木敏充幹事長
栃木県足利市にある母校の小学校分校跡訪問。「新時代の列島改造論を訴える」
(注)五十音順

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