「辺野古」阻止へ切り札=選挙イヤー目前、対立先鋭化―沖縄知事

沖縄県の玉城デニー知事が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設阻止に向け、「最後のカード」とされる設計変更不承認に踏み切った。名護市長選と県知事選を来年に控え、政府への対決姿勢を鮮明にした形。政府・与党は法廷闘争を視野に対抗手段を講じ、両選挙で移設容認派の勝利を目指す方針だ。
「本日、不承認とする処分を行った。全ての埋め立て工事を中止すべきだ」。玉城氏は25日の臨時記者会見で、辺野古移設断念を要求した。
設計変更不承認は玉城氏が温存してきた最後の切り札だ。玉城氏は2018年9月の県知事選で辺野古移設反対を掲げて勝利。19年2月の県民投票で移設反対が7割超を占めると、県内移設見直しが民意だとして政府に話し合いを求めたが、政府は応じなかった。
この間、政府は埋め立て承認の「取り消し」「撤回」など県が繰り出すカードを法廷闘争などを通じて次々に無効化した。移設を既成事実化するため、18年12月には辺野古沿岸部への土砂投入に着手。埋め立て工事を粛々と進めてきた。
一方、玉城氏を支える超党派の「オール沖縄」は近年、退潮傾向が顕著だ。保守勢力は徐々に距離を置くようになり、20年の県議選で自民党が伸長。先の衆院選では名護市を含む沖縄3区で移設反対派が落選した。
玉城氏は25日、県議会の県政与党の会合に出席し、不承認の判断を説明。県議の一人は「最大で最後の決断だ。これで流れを取り戻せるはずだ」と期待する。
これに対し、辺野古移設が唯一の解決策との方針は岸田政権でも変わらず、岸田文雄首相は25日、東京都内で記者団に不承認について「県の対応を注視したい」と述べた。政府は「対応に何の落ち度もない」(高官)との立場で、不承認の判断を覆すため、行政不服審査請求や違法確認訴訟などを検討している。
選挙イヤーを意識した動きもみられた。首相は25日、名護市の渡具知武豊市長と首相官邸で初めて面会。渡具知氏が来年1月の市長選で再選を目指すと報告し、市政運営の支援を求めると、首相は「関係省庁で連携して協力していく」と応じた。
沖縄は来年、1972年の本土復帰から50年の節目を迎える。政府内では「不承認で北風が強まる」として、22年度予算案での沖縄振興費3000億円台の維持は難しくなったとの声も出ている。政府関係者の一人は「政府と県の対立はこれからピークに達するだろう」と語った。

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