たがや亮衆議院議員に聞く「消費税増税で豊かになりますか?」

物価上昇に歯止めが利かず、大胆な政策を政府に求めている昨今。JNNが11月上旬に発表した世論調査によると、デフレに後戻りしないための一時的措置として「消費税の減税」(41%)が最多だった。多くの国民が消費税減税を求めるなか、消費税減税を求めるたびに「減税なんてもってのほか。むしろ欧州諸国並みに税率を引き上げるべき」という声が飛び出す。欧州諸国では消費税率が高いが、日本もそういった国を見習う必要があるのかもしれない。

とはいえ、消費税率は右肩上がりを続けているが、日本が高福祉社会に向かっている実感はなく、むしろ社会保障は年々脆弱になっていないか。結局のところ消費税率はどうすればいいのか。国会や『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)などで消費税減税を訴え続けている、れいわ新選組に所属するたがや亮衆議院議員に、日本の消費税の現状など話しを聞いた。

日本の消費税は欧州並みの負担になっている

▲日英豪 消費税の比較

▲日英豪 消費税の概要

――大前提として欧州諸国と比較して日本の消費税率は低いのですか?

たがや:いいえ、低くありません。例えば、イギリスでは日本の消費税にあたる“付加価値税”の税率は20%です。ここだけ見ると日本のほうが税率は低いですが、食料品や医薬品など生活必需品に対する税率は0%(ゼロ税率)。両国の消費税負担率を計算すると、どちらも6.6%になります。

―― すでに日本の消費税は欧州並みに高い、そう言っても差支えなさそうですね。

たがや:オーストラリアも財貨サービス税(消費税)は10%で日本と同じですが、イギリス同様に食料品などの税率が0%のため負担率は3.1%と半分以下です。仮に欧州並みの20%に消費税率を上げた場合、ゼロ税率の項目を設けなければ、ますます国民の生活は圧迫されます。

――ただ、高福祉を目指すために消費税アップはやむを得ないという意見もあります。

たがや:消費税を引き上げるたび、与党は「引き上げ分は社会保障の安定化のために使います」と訴えていましたが、これらは全くの嘘です。実際、2019年1月28日の衆議院本会議で、当時の安倍晋三首相は消費税率を5%から8%に引き上げた分の使い道として「増税分の5分の4を借金返しに充てていた」と答弁しました。つまり、社会保障にはほとんど回していませんでした。

――どうりで社会保障が安定しているとは思えなかったのですね……。

たがや:日本(政府)はとにかくケチ。国民に全く還元しません。2020年の税金や社会保険料などの負担割合を指す“国民負担率”はイギリス(46.0%)、オーストラリア(37.6%)。日本の2022年の国民負担率は48.1%と日本と大差ないか、むしろ高いです。

しかし、国民一人当たりの政府支出を見比べると、イギリスは248万円、オーストラリアは250万円、そして日本は194万円でした。負担を強いるわりには還元しようとしません。

▲国民負担率の国際比較

日本の財政破綻がありえない理由

――日本政府の借金返済のため、時にはケチることも必要なのでは?

たがや:頻繁に「日本政府の借金は約1200兆円」「財政破綻まったなし」と報じられます。20~30年前から財政破綻(デフォルト)を不安視する識者は多いですが、いつになったら財政破綻するのでしょうか?

――たしかに、その気配はよくわからないような……。

たがや:日本の財政破綻はありえないため、現実味がないのは無理もありません。財務省の公式ホームページでも「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と記されています。[財務省HP:外国格付け会社宛意見書要旨

なぜ財政破綻しないかというと、日本政府は自国通貨、つまり円建てで国債を発行して資金調達(借金)をしているからです。政府は極端に言えば、いくらでもお金を作れる“通貨発行権”があります。円建てで国債を発行している以上、仮に返済が必要になったとしても、返済できないということはありません。

――そういえば、財政破綻したギリシャは自国通貨ではなくユーロが通貨だった気がします。

たがや:そうです、ギリシャには通貨発行権がありません。使用されている通貨のユーロは、欧州中央銀行(ECB)しか作り出せないため財政破綻しました。日本とは全く状況が異なるため、「このままだとギリシャみたいになるぞ!」という主張は全くの的外れです。

――財政破綻に怯える心配はなさそうですね。

たがや:そもそも、日本政府の約1,200兆円の借金は、主に国内の金融機関から借りています。ただ、金融機関も自分たちのお金を政府に貸しているわけではありません。日本国民が金融機関に預けたお金で国債を購入している、要するに政府に借金をさせています。

――日本国民は債務者ではなく債権者と言い換えていい、そういうことでしょうか?

たがや:はい。ちなみに、アメリカや中国などでは積極的に借金を増やし、さまざまな分野に投資を行い、経済成長を実現しています。財政破綻を恐れて政府支出を増やさず、さらには国民に負担を強いる日本は、先進国のなかではかなり珍しい。

――世界の流れと逆行している政策ばかりですね……。

たがや:消費税で言うと、まさしく真逆です。コロナ禍はもちろん、物価上昇によって困窮している国民が多いのは日本だけではありません。海外では消費税減税は当たり前のように行われており、与党は今なお誤りを続けています。即刻、消費税減税すべきです。

消費税の廃止・減税を主張してきた「れいわ新選組」

――日本の消費税率は欧州と比較して低くなく、加えて日本政府の借金返済のために消費増税しなくてもいい、ということがわかりました。国会議員として消費税減税のためにどういった活動をしていきたいですか?

たがや:もちろん、消費税の廃止・減税という声を上げ続けていきます。本来は野党で一枚岩となって与党と戦っていかなければいけないのですが、野党第一党である立憲民主党さんは消費税減税には後ろ向きです。

――11月26日の『日曜討論』(NHK系)に出演した立憲民主党の岡田克也幹事長は「物価高対策として消費税の減税は考えられない」と発言していましたね。

たがや:泉健太代表も講演で「あと5年で政権交代を考えている」とポロッと発言していましたが、“野党第一党が政権を取る姿勢を見せなくてどうする……”とは思いました。消費税減税の実現は急務なのですが、野党の足並みが揃っていない現状があります。

――消費税減税に関しては立憲民主党に期待できないかもしれません。その一方で、消費税の廃止・減税を主張してきた「れいわ新選組」という政党は客観的にはどう見ていますか?

たがや:これまで消費税の廃止・減税を一貫して訴えてきたのですが、以前は「何をバカなことを言っているのか」という指摘が多かった。しかし、ここ最近は批判が少なくなり、耳を傾けてくれる国民が徐々に増えている印象です。今現在は弱小政党ですが、徐々に面白い存在になっているとは思います。

――言われてみると、これだけ消費税減税を国民が求める状況は過去に例がないような気がします。

たがや:それほど物価上昇などによって、生活が困窮している人が少なくないと言えます。また「消費税増税をすれば豊かになる」というウソに気づく国民が増えているのではないでしょうか。今後も国会議員として消費税の廃止・減税をはじめとした発信を続け、物価上昇などに苦しむ人たちを助けられるように活動してまいります。

(取材:望月 悠木)

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