「103万円の壁」見直しで東京23区の税収減は? 新宿区長が懸念
国民民主党が主張する「103万円の壁」の見直しについて、東京都新宿区の吉住健一区長が20日、「区独自の行政サービスの維持が難しくなる」と税収が大きく減ることへの強い懸念を示した。吉住区長が会長を務める、東京都23区の特別区長会で要望書の提出も含め検討していく方針という。
国民民主は、労働者の手取りを増やすため、所得税の非課税枠「103万円」の引き上げとともに、地方税である住民税の非課税枠も引き上げを求めている。
吉住区長はこの日の定例会見で「政策の検証が不確かな中、結論を急ぐのはやめて頂きたい」と指摘。103万円の壁を「178万円」に引き上げた場合、23区の区民税は2400億円減、「130万円」引き上げなら860億円減となるとの試算を公表した。特別区長会事務局によると、2023年度の23区の区民税の総額は1兆1500億円で、「178万円」引き上げなら2割の税収減となる。
吉住区長は「衆院選が終わって一種の興奮状態での議論となっている。政党のメンツや合意内容の見栄えにこだわらず、持続可能な社会をつくる選択をしてほしい」ともし、自治体の議員や首長などに行政サービスの実態を聞くよう求めた。今後、特別区長会でもこの問題を調査し、議論していく考えだという。(木佐貫将司)
11/20 18:30
朝日新聞社