選管がビラの説明でミス、落選候補が選挙無効訴え 広島・世羅町長選

上羽場幸男さんの選挙運動用ビラ。右上に貼られているのが証紙=上羽場さん提供

 10月20日に投開票された広島県の世羅町長選と町議選(定数12)で、町選挙管理委員会が、選挙運動用ビラに貼る証紙について誤った説明をしていた。誤りに気づいた後も、一部の立候補予定者にしか伝えておらず、町長選の落選候補は選挙無効を求めて町選管に異議申立書を提出し、28日に受理された。

 証紙は、町長選候補者に各5千枚、町議選候補者に各1600枚配られる。町選管は告示前、ビラ作成を予定する立候補予定者の陣営(町長選2陣営、町議選5陣営)に対し、片面刷りのビラには1枚、両面刷りには2枚が必要だと説明した。説明内容は県選管にも事前に確認したという。

 ところが、10月7日、町議選の陣営の一つから問い合わせを受け県選管に再確認したところ、両面刷りでも1枚でよいことが判明したという。県選管の担当者も「当初は両面刷りには2枚が必要だと説明したが、後に訂正した」と話す。

 しかし、町選管は誤りに気づいた後も、問い合わせをした町議選の2陣営以外には誤りを伝えなかった。町選管の広山幸治事務局長は「すでにビラの印刷準備が進んでおり、かえって混乱すると考えた」と話す。

 現職との一騎打ちだった町長選で落選した上羽場幸男さん(68)は両面刷りビラを5千枚刷る予定だったが、町選管の説明を信じ、証紙が足りなくなると考えて片面刷りにした。15日の告示後に他候補の両面刷りビラを見て町選管に問い合わせ、説明の誤りを知ったという。取材に対し、「誤りが判明した時点で速やかに全陣営に連絡すべきだった」と憤る。町議選の5陣営は両面刷りを用意したが、うち4陣営は上限の1600枚でなく半数の800枚を刷ったという。

 町選管の広山幸治事務局長は「片面のビラでは情報量が半分になるし、もっと多く印刷できた陣営もあった。誤った説明で混乱を招き、申し訳なかった」と話している。(菅野みゆき)

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