政策活動費廃止、世襲制限…消費減税は盛り込まず 立憲の衆院選公約

立憲民主党の新しいポスターを発表する野田佳彦代表=2024年10月7日午後6時37分、国会内、大久保貴裕撮影

 立憲民主党は7日、衆院選で掲げる公約を発表した。自民党派閥の裏金事件などを踏まえ、「政権交代こそ、最大の政治改革。」をキャッチフレーズに企業・団体献金の禁止や国会議員の世襲制限などを前面に打ち出した。前回衆院選で掲げた時限的な消費減税は盛り込まなかった。

 公約では、裏金事件などを踏まえ「政治不信は臨界点を突破した」「信なくば立たず。まずは、政治への信頼回復が最優先の国家課題」などと主張。政策活動費の廃止や、自民による「政治とカネ」の不祥事の真相究明のほか、候補者や議席の一定割合を女性とする「クオータ制」の導入などを盛り込んだ。

 野田佳彦代表は会見で「石破茂首相になり自民は変わるかと思ったが変わらない。疑似政権交代ではなく政権交代を実現しないと政治をただすことはできない」と訴えた。

 経済面では「アベノミクスによって広がった格差を是正し、『分厚い中間層の復活』に全力で挑む」と強調。税金控除と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入や「最低賃金1500円以上」を掲げた。立憲は2021年衆院選と22年参院選で「5%への時限的な消費減税」を訴えたが、いずれも議席を減らしており、今回から取り下げた。

 公約は「政治の信頼回復」と「分厚い中間層の復活」を前面に打ち出しつつ、安定した外交・安全保障戦略▽超高齢社会に対応した社会保障▽子育て・教育▽地域再生▽共生社会――の計7本の柱に政策を集約した。

 防衛費は「急増した予算を精査し、防衛増税は行わない」と明記。マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への移行に対し、「国民の不安払拭(ふっしょく)など一定の条件が整うまでは、現在の紙の保険証を存続する」とした。公立小中学校の給食無償化や国公立大学の授業料無償化、選択的夫婦別姓や同性婚の実現なども掲げた。

 22年参院選に続いて「原発ゼロ」との表現は見送り、「2050年までのできるだけ早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しない」社会を目指すとした。野田氏は日米同盟を重視する立場を強調しているが、集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安全保障法制については「違憲部分を廃止する」との従来の党見解を踏襲した。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐっては、「辺野古移設工事は中止し、沖縄の基地のあり方や地位協定の見直しについて米国に再交渉を求める」とした。(松井望美)

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