「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」小選挙区5連勝の自民・根本幸典衆院議員と旧統一教会の“ズブズブの関係”〈党員集め、パー券購入も〉

 今回の衆院選で5回目の当選を果たした自民党の根本幸典氏(愛知15区)。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以下、統一教会)と緊密な関係を築き、2017年と2021年の選挙で全面的な支援を受けていた実態が、ジャーナリスト・鈴木エイト氏の取材で明らかになった。

【画像】旧統一教会が開催した1万人信者集会に出席する根本氏

「2017年と、2021年の衆院選でそれぞれ、世界平和連合として根本先生の選挙を支援しました」

 こう語るのは、先日の第50回衆院選、愛知15区で5回目の当選を決めた根本幸典衆院議員(59)を支援した、愛知県豊橋支部元幹部のA氏だ。

 根本氏は、政治資金パーティの裏金問題で420万円が不記載だったとして、政治資金収支報告書を修正している。そのため今回の総選挙では比例代表との重複立候補が認められなかったが、小選挙区で当選した。

電話掛け、後援会の結成、推薦確認書への署名

 根本氏の元秘書・B氏も取材に応じた。

「根本はこれまで、統一教会との接点を一切、認めてきませんでした。でも、これはまったくの嘘。2021年の衆院選まで大変お世話になりながら、2022年の安倍さんの銃撃事件後、大慌てで一方的に関係を断ったのです」

 根本氏は2022年9月に行われた自民党による自主点検や、マスコミの取材にも統一教会との関係を一切否定してきたが、ここに一枚の集合写真がある。満面の笑みを浮かべる統一教会関係者たちに囲まれ、最前列中央で少し硬い表情を浮かべつつ写真に納まる人物こそが、根本衆院議員だ。

後援会「典世会」発会式で教会幹部に囲まれる根本氏(教会関係者提供)

 横断幕には「根本幸典後援会『典世会』発会式」とある。日付は2017年10月8日、前々回の第48回衆院選の公示直前だ。主催は統一教会のフロント組織である世界平和連合(FWP)となっており、後援会の「典世会」という名称も、議員の名前と同連合から一文字ずつ取る統一教会の慣習どおりだ。

「党員集め、パー券購入もしていた」教会関係者が証言

 この後援会「典世会」発会式の翌月(衆院選後の11月16日)、統一教会が愛知県体育館で開催した1万人信者集会「2017孝情文化フェスティバル愛知大会 in NAGOYA」に工藤彰三衆院議員や池田佳隆前衆院議員とともに出席し、来賓国会議員として紹介されていたことも、「やや日刊カルト新聞」の当時の取材で把握している。

 問題はこれだけにとどまらない。根本氏は2017年から22年にかけて統一教会信者に自民党員になってもらうよう、秘書を通じて依頼していた。加えて、2020年、21年、22年に根本氏が開いた「励ます会」では、統一教会関係者にパーティ券を購入してもらっていた。

 また、4回目の選挙となった2021年選挙では「推薦確認書」への署名を行い、教団から推薦状の交付も受けたことも確認することができた。

「豊橋教会の礼拝場に信者が数十人集まり、根本が講演をし、その後『推薦確認書』への署名に移りました」(教会関係者)

 事務所関係者によると、選挙応援用員の派遣だけでなく、根本氏の演説会など各種会合にも動員の要請をしていた。その際、根本氏は事務所スタッフに対し、「あそこ(統一教会)はよくやってくれるから、必ず声を掛けるように」と自ら動員依頼を指示し、「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」とまで話していたというのだ。

 統一教会との関係について一切の事実を明かさないまま、5回目の当選を果たした根本氏。これが有権者に対する誠実な姿勢と言えるのだろうか。根本事務所に質問状を送付し、根本氏本人の携帯電話にも再三電話を掛けたが、期日までに回答は得られなかった。

 根本氏は中部電力やトヨタ自動車をはじめとする地元企業の強力な支持を背景に小選挙区で勝ち続けてきた議員だ。選挙に強い議員であっても、統一教会との関係がこれだけ深い。一体、どれほどの政界汚染が進んでいるのだろうか――。

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文藝春秋 電子版」で公開中の鈴木エイト氏のレポート「党員集め、パー券購入まで…『困ったら統一教会』自民・根本幸典衆院議員と旧統一教会“ズブズブの関係”〈関係者が続々告発〉」では、このほかにも教会関係者や事務所関係者による重要証言を多数掲載。根本氏と旧統一教会との関係を示す証拠写真の数々も多数紹介している。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 電子版オリジナル)

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