菅政権、重み増すG20 温暖化対策、バイデン氏…「多国間」再び

オンラインで開催されたG20サミットで発言する菅義偉首相=21日夜、首相官邸(内閣広報室提供)

 菅義偉首相は22日夜、テレビ会議方式による20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席。最重要課題とする2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロに向けた協力を呼び掛ける場として、主な排出国が集まるG20を絶好の機会ととらえる。多くの国・地域が参加するG20は利害が錯綜(さくそう)し、政府内には意義を疑問視する声があったが、菅政権誕生などで重要性が増している側面もある。
 首相は初日の21日、新型コロナウイルス対策に関し「ポストコロナの秩序作りをG20が主導していくとのメッセージを明確に打ち出すべきだ」と呼び掛けた。
 世界人口の約6割、国内総生産(GDP)の8割以上を占めるG20は国際協調を促す上で効果的な場となり得る。とはいえ、新型コロナの影響で各首脳が一堂に会することはなく、会議の合間に2国間会談を行う機会もなくなった。政府内には「本当にやる意味があるのか」との声も漏れる。
 G20サミットはリーマン・ショックを受け、中国やロシア、インドなど新興国も参加し、世界経済の実態をより忠実に反映した形で2008年に始まった。一時は先進7カ国(G7)首脳会議の不要論まで出た。
 一方、先進国と新興国の間で自由貿易や地球温暖化対策などをめぐり利害が一致しにくい面がある。17年に米国第一主義を掲げるトランプ米大統領が就任すると、首脳宣言で「保護主義との闘いを続ける」との文言が削除された。多国間外交を得意とした安倍晋三前首相の主戦場もG7だった。
 だが、菅首相にとってG20は、新興国も参加するからこそ重要な意味を持つ。新興国で温室効果ガスが増加傾向にあることを踏まえ、温暖化対策を成長につなげる「発想の転換」を強調する場となった。
 米大統領選でバイデン前副大統領が勝利を確実にしたことも、G20の重みを増す要因となる。バイデン氏は地球温暖化や新型コロナ対策で国際協調を呼び掛けており、日本政府もこうした変化を見越し「今回は多国間協調を復活させるのがポイントだ」(外務省幹部)と位置づけた。
 (杉本康士、市岡豊大)

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