野党の最終盤国会の「ちぐはぐ戦術」 透ける参院選への打算

衆院本会議で出入国管理法改正案の採決に臨む与野党議員ら=11月27日夜、国会(春名中撮影)

 出入国管理法改正案をめぐる与野党の攻防が最終盤に突入した。ただ、主要野党の抵抗のトーンは高まりに欠ける。立憲民主党内では、野党にとっての「伝家の宝刀」といえる内閣不信任決議案提出を封印するムードすら漂い始めた。ちぐはぐにも映る国会対応の背景には、来年夏の参院選を見据え、足並みの乱れを回避したい思惑が透ける。(松本学)
 国民民主党参院会派の舟山康江国対委員長は6日の記者会見で、入管法改正案をめぐり、与党側と付帯決議の調整に入ったことを明らかにした。
 国民民主党は改正案の対案を参院に提出し、改正案を廃案に追い込むことを目指してきたが、運用面での改善を促す方向にかじを切った形だ。舟山氏は「(政府案に)縄をつけて歯止めを効かせる」と付帯決議の意義を強調した。
 改正案への賛成を前提にした付帯決議の協議は、成立阻止を最優先する立憲民主党の戦術とは相いれない。公明党関係者は「野党分断はとっくに終わっている」と語る。
 徹底抗戦路線の立憲民主党と、提案型の野党像を模索する国民民主党-。同じ旧民進党の流れをくむ両党の溝は深まるばかりだ。
 一方で、互いに対する奇妙な「配慮」もにじむ。
 国民民主党は改正案の対案を11月21日にまとめていたが、衆院での改正案審議中は提出を見送り、立憲民主党などと足並みをそろえて山下貴司法相への不信任決議案を提出した。野党の結束を優先させ、立憲民主党の顔を立てたわけだ。
 参院審議入りを機に国民民主党が対案を出すと、今度は立憲民主党が気遣いを見せた。参院本会議での改正案審議入りを決めた末松信介参院議院運営委員長(自民党)の解任決議案提出を野党各会派に呼びかけたが、国民民主党が二の足を踏んだとたん、あっさりと引っ込めた。立憲民主党の福山哲郎幹事長は提出見送りの理由を「野党の国会での協力が重要だ」と記者団に説明した。
 分裂のしこりを抱える両党は、互いのカラーの違いを黙認し合い「民主党政権崩壊以降のバラバラ感、ガタガタ感」(連合の神津里季生=こうづ・りきお=会長)を露見させないよう腐心しているように映る。国会での足並みの乱れは参院選の焦点である改選1人区の候補者調整に影を落とし、結果として与党を利することになるからだ。
 もちろん、立憲民主党が水面下で国民民主党議員への「引き抜き工作」を展開するなどの動きは絶えず、両党の不信感は根深い。国民民主党幹部は遺恨を飲み込むようにこう吐露した。
 「比例復活でしか勝ち上がれない議員は、どんどん立憲民主党へ移ってくれればいい。結果として野党勢力全体の議席が増えるならそれでいい」

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