血栓リスク、混合接種…「アストラ製ワクチン」先行2種との異なる特徴

月内に接種が始まる、新型コロナウイルスの“第3のワクチン”。その特徴や、議論の対象にもなった“血栓症の副反応リスク”などの実態を専門家に聞いたーー。

東京、神奈川、大阪など、緊急事態宣言発出下の6都府県に今月からアストラゼネカ製ワクチンが配送され、23日にも集団接種会場での接種が始まる見込みだ。

これでファイザー製、モデルナ製と合わせて新型コロナウイルスのワクチンは3種類に。

【3種類の新型コロナウイルスワクチンの比較】

〈ファイザー・米国〉

タイプ:mRNA
有効率:94.60%
接種間隔:3週間
保管温度:-75度前後
供給量:1億9,400万回分
接種対象:12歳以上
2回目接種後の発熱(37.5度以上)の割合:38.10%

〈モデルナ・米国〉

タイプ:mRNA
有効率:94.10%
接種間隔:4週間
保管温度:-20度前後
供給量:5,000万回分
接種対象:12歳以上
2回目接種後の発熱(37.5度以上)の割合:78.0%

〈アストラゼネカ・英国〉

タイプ:ウイルスベクター
有効率:76%
接種間隔:4〜12週間
保管温度:2〜8度
供給量:1億2,000万回分
接種対象:原則40歳以上

接種のスピードを速めることが期待されるが、アストラゼネカ製のワクチンは認可が遅れたこともあり、今後接種を控える人の中には、効果や副反応を気にする声もある。

そこで、感染症の専門家で日本ワクチン学会理事を務める、長崎大学の森内浩幸教授にアストラゼネカ製(以下、アストラ製)ワクチンについて気になる疑問をぶつけてみた。

【Q1】「有効性」が低いの?

「ワクチンの性能を示す『有効率』は、ファイザー製とモデルナ製が90%以上。アストラ製は70%台だから性能が低いと考えるのは間違いです。もっとも重視すべき点である“死亡につながる重症化を防げるか”については、2社のワクチンと遜色ないと捉えています。イギリスの保健当局が発表したデータによると、アストラ製ワクチンを2回接種した場合、感染力が強いとされるデルタ株に対しても入院を防ぐ効果が92%だったとあります。変異株に対しても命に関わる事態を防ぐ効果は十分に得られるでしょう」

【Q2】アストラ製とほかのワクチンの2種類打つのが有効ってホント?

「今年7月、ドイツのワクチン委員会は、1回目にアストラ製、2回目にファイザー製のワクチンを接種したところ、同じワクチンを2回接種するよりも強い免疫反応が得られたこと報告しています。それを受け、ドイツではアストラ製のワクチンを1回接種した人には、2回目は他社製のワクチンの接種を勧めています。アストラ製ワクチンが日本でも早く認可されていれば、1回目にアストラ製のワクチンを接種する“混合接種”の議論ができたのではないでしょうか」

【Q3】接種間隔が長いのはなぜ?

「オックスフォード大学が6月に発表した研究結果によると、アストラ製ワクチンは1回目と2回目の接種間隔が長いほど高い予防効果が得られるという特徴があり、12週間空けた例でも強い抗体反応が確認されています。そのため、4週間より長く間隔を空けて接種するメリットがあるのです」

【Q4】「3回接種」が必要になるの?

「ワクチンの効果がどれほど持続するかはまだ不明ですが、いち早くワクチン接種が行われたイギリスでは、半年程度で予防効果が低下したと報告されています。もちろん2回接種をすることで重症化を防ぐ効果は十分に得られると考えていますが、ある程度のレベルまで感染を抑えこもうとするならば、3回目の接種を準備しておく必要があるでしょう」

ワクチンは自身の感染や他人へうつしてしまうリスク、そして重症化を防ぐカギになる。接種を受ける側の正しい理解が、未知のウイルスとの戦いには大切だ。

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