自民党本部に火炎瓶6本、首相官邸の防護柵に車で突入した49歳男を逮捕…車内に液体入りポリタンク

 19日午前5時43分頃、東京都千代田区永田町の自民党本部正門前で、男が火炎瓶のようなものを6本投げ、党本部の門扉と警視庁機動隊の車両の一部を焼いた。男は軽ワゴン車で移動。約10分後に約600メートル南の首相官邸前の防護柵に車で突っ込み、駆け付けた警察官に発煙筒のようなものを投げた。警視庁は男を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。けが人はいなかった。

 警察庁は、要人への警護強化を全国警察に指示した。

 発表によると、逮捕されたのは埼玉県川口市差間、職業不詳臼田敦伸容疑者(49)。調べに対し、黙秘している。

 捜査関係者によると、車内には可燃性の液体が入ったガラス瓶に着火剤2本を粘着テープで取り付けた火炎瓶のようなものが数本あった。液体入りのポリタンクが約20個積まれており、車内に火を放った形跡もあった。警視庁が事件の動機や背景を調べている。

首相官邸に突っ込もうと入り口付近で止まった車両を調べる警察官(19日午前8時35分、東京都千代田区で)=西孝高撮影

 臼田容疑者は埼玉県川口市出身。県内の私立中高一貫校を卒業後、運送会社の従業員やウェブデザイナーとして働いた。2009年の衆院選では、埼玉2区からの出馬を検討。その後、立候補は見送っていた。

 東日本大震災後は、脱原発などの活動を展開していた時期もあったという。

首相官邸(奥)に突っ込もうと入り口付近で止まった車両(中央)(19日午前7時7分、東京都千代田区で)=西孝高撮影

 石破首相は19日午前、鹿児島県薩摩川内市内での街頭演説で、「民主主義が暴力に屈することがあっては絶対にならない。政府として国民の安全をきちんと守り抜く。暴力に屈しない民主主義を徹底していく」と述べた。

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