衆院選公示 信頼できる政党を見極めたい

 内外の課題が山積する中、日本の針路を決める重要な選挙が始まった。信頼できる政党や候補者を冷静に見極め、責任ある1票を投じたい。

 第50回衆院選が公示された。自民、公明両党が過半数の233議席を確保し、石破首相が本格的な政権運営にあたる体制を築けるか。あるいは、野党が目指す自公両党の過半数割れが現実となり、政局が流動化するかが焦点だ。

 景気は回復傾向にあるが、物価上昇に賃上げは追いついていない。安全保障環境の急速な悪化にどう対応するか、高まるエネルギー需要をどうやって賄うのか、といった点も争点となる。

 各党や候補者は、これらの課題に説得力のある処方箋を示し、建設的な論争を展開してほしい。

 政治とカネの問題で自民党は防戦を強いられている。

 党執行部は、政治資金収支報告書への不記載のあった議員の処遇を巡って揺れ続けた。

 首相は日本記者クラブの討論会で、政策活動費について「抑制的に使う」と述べたが、野党の追及を受けると、その翌日に「選挙に使わない」と軌道修正した。

 一連の対応を有権者がどのように見ているかは、衆院選の 帰趨きすう に影響を与える可能性がある。

 立憲民主党は、半数を超える237人を擁立したが、多くの選挙区で他の野党と競合しており、共倒れを懸念する声も出ている。

 今回の候補者数は、現行制度で最少だった3年前より293人多い1344人となった。このうち女性は314人で、過去最多だった2009年を85人上回った。

 3年前は立民と共産党など多くの野党が共闘したが、今回は調整が進まず、各党が独自に候補者を擁立したことが背景にある。

 また、自民党が不記載のあった前議員ら34人について、比例選との重複立候補を認めず、その穴埋めとして比例選単独候補を土壇場で立てたことも影響している。

 この中には、党執行部から頼まれ、出馬を決めた党の事務職員や女性経営者らが数多く含まれている。多様な人材がそろった形だが、数合わせのように集められた人たちに、国民の代表としての役割を果たす覚悟はあるのか。

 近年の各種選挙では、選挙運動の妨害や、選挙と関係のないポスターの掲示、奇矯な政見放送などの問題が相次いでいる。

 民主主義の根幹である選挙を 愚弄ぐろう するような行為は許し難い。全ての候補者はルールを厳守し、健全な選挙運動を展開すべきだ。

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