6人死傷火災でバイク店元経営の男を書類送検へ…蓋の緩んだガソリン携行缶落とし、出火の原因に

 東京都板橋区で今年1月、バイク修理販売店から出火し、建物2階にいた大家の高齢夫婦が死亡、家族4人が重傷を負った火災があり、警視庁は20日にも、同店元経営の男(31)を業務上過失致死傷と業務上失火容疑で東京地検に書類送検する方針を固めた。ガソリン入りの携行缶の蓋の緩みを確認せず、こぼしたガソリンが出火の原因になっており、過失は重いと判断した。

6人が死傷した火災現場(1月11日、東京都板橋区で)

 火災は1月11日午後7時35分頃発生した。板橋区高島平の2階建てバイク店兼住宅約300平方メートルが全焼し、2階の住居にいた斉藤信夫さん(当時80歳)と妻の啓子さん(同75歳)が死亡。息子夫婦と孫2人の計4人も避難した際、足を骨折するなどの重傷を負った。

 捜査関係者によると、男は携行缶の安全管理を怠り、蓋が緩んだ状態で手に持って移動。1階のバイク店の作業場から事務所に入る際、段差につまずいて携行缶を床に落とし、ガソリンを近くの石油ストーブに引火させて建物を焼き、6人を死傷させた疑いがある。

 男は当時、店先に止めたバイクに給油するため携行缶を運んでいた。任意の調べに「ガソリンが引火しやすいことは分かっていたが、蓋が完全に閉まっているかは確認しなかった」と容疑を認めているという。

 揮発性が高いガソリンは消防法上の「危険物」で、都の火災予防条例は携行缶を取り扱う際、ガソリンが漏れたり、飛散したりしないように必要な措置を講じるように規定している。

 警視庁は、男がガソリンを扱う事業者としての注意義務を怠ったと判断し、書類送検に際し、起訴を求める「厳重処分」の意見を付ける方針。

 ガソリンの携行缶を巡る事故は過去にも起きている。2013年8月、京都府福知山市の花火大会会場で、屋台の店主が携行缶から発電機に給油しようとした際にガソリンが漏れて爆発が起き、観客ら3人が死亡、54人が重軽傷を負った。

 国民生活センターは、携行缶を取り扱う際は蓋をきちんと閉め、高温になる場所で保管しないよう注意を呼びかけている。

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