東北新幹線、時速315キロで走行中に分離…JR東は連結車両全96編成で緊急点検へ

 19日午前8時7分頃、盛岡・秋田発東京行き東北新幹線「はやぶさ・こまち6号」が、古川―仙台駅間を時速300キロ超で走行中に、「はやぶさ」(10両)と「こまち」(7両)の連結器が外れ、緊急停車した。この影響で、東京―新青森駅間の上下線は約5時間にわたって運転を見合わせた。走行中の新幹線車両の連結器が外れたのは初めてだといい、JR東日本は原因を調べている。

 JR東によると、はやぶさ・こまち6号は、盛岡駅で秋田発のこまち(乗客約120人)とはやぶさ(同約200人)を連結。盛岡駅を発車して約30分後、時速約315キロで宮城県大崎市内を走行中に連結器が外れた。直後にいずれも非常ブレーキが作動して緊急停車したという。乗客にけがはなく、車体点検後に仙台駅まで移動し、別の車両に乗り換えるなどした。

 仙台市で行われる会議に出席するため、盛岡駅から乗車した盛岡市の国家公務員の男性(56)は「音や衝撃もなくゆっくりと止まり、不安になった。アナウンスで連結部分が外れたと聞いて、車内も少し騒然となった」と振り返った。

連結器が外れ、停車した「はやぶさ」(左線路・上)と「こまち」(同下)の車両。上が東京方面(19日午前10時50分、宮城県大崎市で、読売機から)=須藤菜々子撮影

 車両の分離は、電気信号で行っており、車両が停止した状態でないと分離できない仕組みになっている。こうした理由などから、JR東は人的要因ではなく、車両側に問題があったとみて、原因を調べる。

 JR東は今後、連結運転を行う新幹線全96編成について、緊急点検を行う。JR東は「多くのお客さまにご迷惑をおかけし、おわびする。事態を重く受け止め、速やかに原因を究明し、再発防止に取り組む」としている。

 今回の緊急停車で、東北新幹線の上下線72本が運休するなど、約4万5000人に影響が出た。

 JR東京駅の丸の内南口改札口は一時、駅員に運行状況を問い合わせる人らで混雑した。愛知県稲沢市の大学院2年の男性(25)はこの日、東京駅を午前8時半過ぎに出発する東北新幹線に乗り、福島県内で行われる学会に参加する予定だったという。男性は「機械的なトラブルなのか、人的ミスなのか、JRは事故原因をしっかり調査して再発防止に努めてほしい」と話した。

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