梅干しが大ピンチ 「ことしは一番悪い」過去にない“不作”と食品衛生法の改正が直撃 梅干し作りをやめる農家続出

実はいま「梅干し」が大ピンチを迎えています。一体何が起きているのか。

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愛知県新城市、その原料となる梅の実の収穫現場では、ある異変が…。

本来、梅の実でいっぱいになるはずの枝には、まばらにしか実がついていません。

(梅農家 柿原久哲さん)
「(例年と比べて)3~4割は少ないと思う。ことしが一番ひどい」

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30年以上、梅の栽培をしている農家も「ことしは一番悪い」というくらい不作なんです。

その原因は定かではありませんが、3月ごろの気温が低く、花を受粉させる役割を果たす蜂があまり飛ばなかったことなどが要因ではないかといいます。

(JA愛知東 中村和正さん)
「実が付かないというところで(出荷量は)半分以下になるのではないか。ひどいところは(実が)なっていない」

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一方で梅をめぐっては、こんな問題も。

(梅農家 柿原久哲さん)
「これがうちで漬けた梅干し」

柿原さんは、自家製の梅干しをJAの直売所などで販売していました。

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(梅農家 柿原久哲さん)
「(味付けは?)塩だけ。私も毎朝、小さいのを2粒、大きいのを1粒食べている」

ところが、2024年6月から食品衛生法が改正され、販売用の漬物作りが許可制となり、梅干しを作るには衛生基準を満たす施設が必要になったのです。

道の駅やJAの直売所で販売されている梅干しは、農家が自宅などで作っていたものも多く、衛生基準を満たせない農家が続出。

柿原さんをはじめ、多くの梅農家は販売用の梅干し作りをやめてしまいました。

(梅農家 柿原久哲さん)
「残念だが仕方ない。決まったことですから」

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梅干し作りをやめる農家が多いことに…“危機感”

こうした中、梅干し作りを新たに始めたところも。

こちらは愛知県常滑市の澤田酒造、どうして酒蔵が梅干し作りを始めたのでしょうか。

(澤田酒造 澤田薫 社長)
「日本酒を使った梅酒造りを約20年続けているが、その間ずっと地元の“佐布里梅(そうりうめ)”を使ってきた」

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梅酒作りに地元特産の佐布里梅を使い、梅農家と長年の付き合いがあった澤田社長は、梅干し作りをやめる農家が多いことに危機感を持ったといいます。

(澤田酒造 澤田薫 社長)
「梅干しが農家にとってのアイデンティティーだと聞いて。それができないとなったら、梅を作ることも後ろ向きになってしまう」

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佐布里梅と梅干しを守りたいとの思いから、自ら梅干しを作ることにしたのです。

元々台所だった場所を衛生基準を満たすように改装。

5月に漬物作りの許可がおりて、この日は初めての仕込みにこぎつけました。

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作業を見守るのは地元の梅農家の真田愼吾さん、今回の法改正を機に梅干し作りをやめた一人です。

(梅農家 真田愼吾さん)
「(佐布里梅は)梅干し用に適している。果肉が多いので。うれしい、梅干しを作ってもらえることになって。楽しみにしている」

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初めての梅干しづくりは、真田さんの助言を受けながら進んでいきました。

(スタッフ)
「心配ですね。心配の方が勝っている。でも大丈夫」

(澤田酒造 澤田薫 社長)
「施設が間に合って、仕込めて一安心。おいしい梅干しができることに期待している」

作業場の改装費用は約100万円、決して安い額ではありません。

(澤田酒造 澤田薫 社長)
「梅干しだけでは成り立たせるのは難しい。梅干しと同時に、酒かすを使った“かす漬け”も作って。複数の漬物を作ることで年中生産できるようにしたい」

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不作と法律の改正が重なり、大ピンチとなっている梅干し。

この先どうなっていくのでしょうか。

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