学校や保育所で教職員らの“性犯罪歴の確認” 義務化 学習塾などは国が認めた場合のみ参加 「日本版DBS」
学習塾など教育現場で相次ぐ子どもの“性被害“…学びの場が脅かされています。
学習塾の今、そして対策も取材しました。
去年、大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師の男が、東京都内の校舎で教え子の女子児童12人の下着を盗撮したなどの罪に問われ、3月26日、懲役2年、保護観察付きの執行猶予5年の判決が言い渡されました…この裁判で元講師の男は。
「定年までの40年間、子どもに一切手をつけないという自信がなく、出版関係の部署を希望していた」
男は、高校生の頃から、自分が「小児性愛者」であることを自覚していました。
こうした事件は東海地方でも…
去年、三重県桑名市の学習塾では、塾長の男がトイレに設置した小型カメラで10歳から17歳の少女を盗撮するなどし、懲役2年6か月、執行猶予4年の判決が言い渡されました。
教育現場で相次ぐ子どもたちの「性被害」に、保護者は…
(小3と小5男児の母親)
「親はなかなか塾の中に踏み込むことができない」
「(被害を)親にも言いにくいのではないかと思いますね」
(小3女児の母親)
「男の先生もいるし、女の先生もいるし、それも選べない」
「子どもの性被害は看過できない」と、国も動きました。
参考にしたのは、イギリスの制度。
子どもに関わる仕事につく人などの性犯罪歴を確認する「DBS」という制度を2012年に導入しています。
日本政府は3月19日、「日本版DBS」の創設などを盛り込んだ法案を閣議決定しました。
前科があった場合は…不採用や解雇、配置転換の措置
日本版では、学校や保育所などで教職員らの性犯罪歴の確認が義務化されます。
仮に前科があった場合、不採用や解雇、配置転換の措置をとらなければなりません。
一方、国の認可事業ではない学習塾やスポーツクラブなどでこの制度を義務化するのは難しく、犯罪歴を扱う重大さから、個人情報を管理できる態勢が整っているかなど、国が認めた場合のみ制度に参加できます。
いわば、国のお墨付きをもらった学習塾などは安心して学べる場所であると公表されます。
愛知県東海市の学習塾では…
(やる気スイッチグループ 中井陽子取締役)
「(日本版DBSを)利用することを検討している」
全国に約1100校の個別指導塾を展開するスクールIE。
講師の採用では限界も感じているようで…
(やる気スイッチグループ 中井陽子取締役)
「どんなに面接やリファレンスチェック(職歴調査)を厳しくしても、どうしても民間企業としての限界がありますので、今回の決定に関しては前向きに捉えています」
この「日本版DBS」に期待を寄せる一方で…
(やる気スイッチグループ 中井陽子取締役)
「『初犯』は、なかなか犯歴からは(防ぐことは)難しい」
「教室の外で生徒と会わない」など誓約書の記入は年に3回以上
制度の弱点をカバーするため、教室ではこんな工夫が…
(やる気スイッチグループ 営業企画課 石井雄一課長)
「遠隔から確認できるカメラを、各教室に必ず設置している」
すべての教室にカメラを設置、音声もリアルタイムで確認でき教室の中は360度見渡せます…さらに。
(やる気スイッチグループ 営業企画課 石井雄一課長)
「僕の身長よりパーティションを低くできているので、死角を一切作らないように」
また、授業中も教室の様子を確認する責任者をおき、30分に1回以上見回ったり、トイレの中もカメラがないか常に目配りしています。
このほか、講師には「教室の外で生徒と会わない」「SNSで繋がらない」など、誓約書を年に3回以上書かせ、やぶると懲戒処分になります。
(やる気スイッチグループ 営業企画課 石井雄一課長)
「(犯罪を)起こさせない環境を大事にしている」
政府は、今国会での「日本版DBS」の法案成立を目指していて、制度開始は2026年と見込まれます。
04/01 18:47
CBCテレビ