リニア なぜ2027年に開業できない? JR東海が「困難」から「実現できない」という表現に変えたわけ

JR東海が建設を進めている、リニア中央新幹線。最高時速は500キロ、品川~名古屋間を最短で40分で結びます。

2011年5月、中央新幹線の整備計画が国によって決定。JR東海は環境影響評価を進め、2014年10月に工事を開始しています。

全長286キロのうち、山梨県、静岡県、長野県にまたがるのが総延長25キロの南アルプストンネル。南アルプストンネルのうち、山梨側の工事は2015年8月にJR東海が業者と契約を結び12月に着工。長野側は2016年2月に契約を締結し、11月に着工しました。

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一方、山梨と長野の間に位置する静岡県での工事は2017年11月に契約が結ばれましたが、環境への影響を懸念する静岡県の川勝平太知事の理解を得られず、6年以上が経ったいまも着工の目途は立っていません。現時点で、未着工は静岡工区だけです。

品川~名古屋間の当初の開業目標は「2027年」。静岡工区では当初、10年間の工事を想定していましたが、いまだ着工の目途が立っていないことに加え、標高3000メートル級の南アルプスを貫くこのトンネルは、地表からトンネルまでの深さ(土かぶり)が過去のトンネル工事では類を見ない最大1400メートルに達し、屈指の難工事が予想されることから、今後速やかに工事が行われたとしても2027年の開業は絶望的となっています。

JR東海の丹羽俊介社長もこうした背景を踏まえ、これまで2027年の開業は「困難」という表現をしていて、去年12月、国に提出した駅の工事などに関する認可申請書でも、開業時期を「2027年」から「2027年以降」と改めました。

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JR東海は申請書で、具体的な開業時期を明記せず2027年「以降」とした理由について、現時点で新たな開業時期を見通すことができないためとしていて、「27年の開業を断念したものではなく引き続き早期開業を目指す」としていました。

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しかし、3月29日に開かれたモニタリング会議で、丹羽俊介社長は「残念ながら2027年の名古屋までの開業は実現できる状況ではない」と話しました。

「困難」から「実現できない」という断定的な表現に変わったのは初めてで、JR東海は「引き続き早期の着工を目指す」とした上で、具体的な開業時期については工期の見通しが立った際に改めて国に変更を申請するとしています。

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