「母校がなくなるのは悲しい」 7つの小中学校を統合して“小中一貫校”を設置へ 4年後の実現を目指す町に期待と不安の声

小中学校の統合によって、どんな学校が誕生するのでしょうか。

愛知県美浜町では町内にある小中学校、7校を全て一つに統合し、4年後に小中一貫校を設置する方針で検討が重ねられています。

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ことしで創立150周年を迎える、美浜町の布土(ふっと)小学校。

15人の4年生が受けていたのは学校の歴史を学ぶ授業、その内容は…

(児童)
「150周年の年に、布土小学校の痕跡を残すことができてよかったです」

現在、美浜町では布土小学校を含めた町内5つの小学校と2つの中学校を、4年後の2028年に1つの小中一貫校に統合するため、新年度予算案として調査設計費などに1億9000万円あまりを計上しているのです。

そして、美浜町の定例議会閉会日の21日、新年度予算案が賛成多数で可決され、これにより町は小中一貫校設置への第一歩を踏み出したことに。

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美浜町によると、今年度の町内5つの小学校の児童数は合わせて919人ですが、4年後の2028年度には704人に減少。

2つの中学校の生徒数も30人ほど減少する見込みです。

この加速する少子化に加えて、施設の老朽化が進んでいることなどから、美浜町は危機感を抱き小中一貫校の設置を決めたのです。

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その新校舎の場所は美浜町の西側にある、日本福祉大学・美浜キャンパスの施設内が予定されています。

造成費などが安く抑えられることに加えて、各小学校が大学側とクラブ活動やトワイライトスクールで連携し交流していることなどが理由です。

大学のプールや武道場、そして空き教室などを借りることも予定しています。

(美浜町 八谷充則 町長)
「単に小中学校を一つにするだけではなく、美浜町の特性である日本福祉大学の教育・心理学部、あるいはスポーツ科学部と連携することによって、他の市町ではできない教育環境を整えて教育をしていく」

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新しい学校の予定地まで徒歩で1時間半以上→バスの運用を検討

現在、美浜町の小学生は原則徒歩で登下校していて、自宅から学校まで30分ほどかかる児童もいます。しかし、新しく設置される学校の予定地までは徒歩で1時間半以上かかる児童もいるということです。

そのため、町は子どもたちの通学手段として、スクールバスの運用を検討しています。

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この統合計画について、子どもたちは?

(児童)
「自分の母校がなくなるのは悲しい」
「うれしいけど、このクラスでずっとやってきたから、みんなとクラスが分かれると、ちょっと不安になります」
「友達をいっぱい増やしたいし、部活も多くなると思うから頑張りたい」

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一方、保護者からは…

(保護者)
「子どもがいなくなるという中で、われわれ保護者世代は明るい話かなと思う」
「ちょっと遠くなるから心配かな。移動のこととかバス乗り場がどこになるかとか」
「そんなに悪くはないかなと思っています。バス出してくれるんだったら、そっちの方が安全かな」
「大学の敷地内ということもあって、大学生とのふれあいがどうなのかなって」
「広すぎて防犯的なことが、ちょっと気になる」

保護者からは、期待と不安の両方の声があがります。

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統合計画の指揮をとる町長は、子どもの数が減っていく危機感がある中、この教育環境の改革に自信をのぞかせます。

(美浜町 八谷充則 町長)
「住環境、医療環境が整っていて、これで教育環境を整えていけば、もっと見直される地域。これから美浜の街を元気にしていく一つの手法として、教育環境を整えていきたい」

私立大学の中に設置が進む、公立小中7校が統合した一貫校は全国でも「まれ」な存在。

住民の気持ちに沿った改革が期待されます。

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