“マイナス金利解除”のメリット・デメリットは? 専門家に聞く 利回り向上の一方で…住宅ローンなどの利払いは増加
日本銀行は19日に「マイナス金利」を解除することを決めました。製造業にはどんな影響があるのか。そして、私たちの暮らしはどう変わるのか、取材しました。
(日本銀行・植田和男総裁)
「大規模な金融緩和策は、その役割を果たしたと考えています」
19日まで開かれた金融政策決定会合で、日銀はマイナス金利政策を解除するなど大規模な金融緩和策の見直しを決定しました。
名古屋市港区の千代田鋲螺(ちよだびょうら)。自動車のエンジンやエアコンなどに使われる「ネジ」を約1000種類製造しています。
(千代田鋲螺・野村美貴男社長)
「1日35万本、ヨーロッパ、アメリカ、日本でももちろん(使われている)」
(大石アンカーマン)
「日本だけでなく世界の車を支えたネジなんですね」
社長は「マイナス金利」解除のデメリットについてこう話します。
(大石アンカーマン)
「これらの機械だといくらくらい?
(野村社長)
「3000万円前後ですね」
(大石アンカーマン)
「お金は借りづらくなる?」
(野村社長)
「当然(設備投資の)額が大きくなればなるほど(借り入れの)お願いをするのも大変になる」
絶えない“金利”の不安 “人手不足”の現状
また、この会社では借り入れ金のうち、月に数百万円ずつを返済しています。同業他社に比べると負担は少ないといいますが、それでも「金利」の不安が絶えません。
(野村社長)
「どんどん(金利が)上がっていってしまうのは、中小零細企業だけでなく、借金をしているような会社にとっては、利息が上がるというのは、それこそボディブローです」
さらに「人手不足」の現状も重くのしかかっています。
(野村社長)
「人の確保という意味では、賃金は最重要な要素」
従業員の平均年齢は50歳ほど。若手の人材不足への処方箋としてこの会社では数年前から段階的に賃上げを行っていますが、ことしも上げざるを得ないだろうとこぼします。
(野村社長)
「ニュースでも『満額回答、満額回答』と報道されていたので…」
2007年以来、17年ぶりの利上げが中小企業を圧迫する中、私たちの暮らしはどう変わるのか…
(20代大学生)
「わからないです」
(20代会社員)
「知らない、何それって感じ」
若い世代はあまり関心がない一方で、50代や60代からはこんな声が…
(50代会社員)
「普通預金がある程度あっても利息を見たら『12円』とか。たくさん預金を持っている人はその分金利がつくけど、普通の人はそんなに預金していないと金利はつかない」
(60代主婦)
「これから変わると思います。介護保険とかでいろいろと」
三菱UFJ銀行のシニアエコノミストに話を聞きました。
専門家に聞く “マイナス金利解除” のメリット・デメリット
(三菱UFJ銀行・中村拓郎シニアエコノミスト)
「借り入れよりも貯蓄が多い人にとっては、運用商品や保険や年金の利回りが向上する」
一方で、デメリットについては…
(三菱UFJ銀行・中村拓郎シニアエコノミスト)
「住宅ローンなど変動金利で調達しているローンの利払いは増加するので、個人にとっては負担が増す」
さらに今後、円高に向けての動きが加速すると、こうした影響も…
(三菱UFJ銀行・中村拓郎シニアエコノミスト)
「円高が進んだ場合には輸入商品が円ベースで軽減されるというか、価格が安くなるので、買い物をする側にとってはプラスに働くかなと思う」
歴史的な転換点を迎えた金融政策。市場や家計への変化に注目が集まっています。
03/19 20:10
CBCテレビ