地元在住の長男だけが参加できた“獅子舞”がピンチで変化 存続危機で「女性」や「地区以外の住民」にも参加呼びかけ 三重県津市の“中野獅子舞”

2月22日、大いに盛り上がった愛知県稲沢市の「国府宮はだか祭」では、初めて女性が神事に参加しました。他にもこの地方の各地で伝統の祭りに「変化」が広がっています。

2月22日、もみ合いが行われた愛知県稲沢市の「国府宮はだか祭」では「儺追笹奉納(なおいざさほうのう)」という神事に初めて女性が参加。

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そして、三重県尾鷲市の「ヤーヤ祭」では、これまで海に飛び込む時に「全裸」だったものが禁止に。さらに!

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(山室雅子記者)
「馬が駆け上がる坂道は土が盛られ、よりなだらかになっています。そして、一番上の部分は、従来2メートルあった土壁が今はありません」

三重県桑名市、多度大社の上げ馬神事は「動物虐待に当たるのではないか」との声を受けて、ことしは土壁をなくし、坂の傾斜を緩めることを決定。

この地方の各地の祭りで、時代に合わせた”新しい形”が模索されています。

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三重県津市、一身田の中野地区でも、3年に1度行われる「中野獅子舞」で、250年以上続く「ある伝統」を変えることにしました。

(一身田中野獅子舞保存会・小林達也会長)
「農家の長男しか出られないという規約があったので、『私もしたい』『僕もしたい』と言っても、出たくても出られない状況だった。(昔は)お客さんもあふれかえるぐらいだったが、今はこちらからお願いしても出てもらえない」

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これまでは、地元在住の「長男」の男性だけ参加できましたが「このままでは存続が難しい」と考えた保存会のメンバーが、今回は「女性」や「地区以外の住民」にも広く参加を呼びかけました。

去年9月から練習に参加したのは、中野地区から10キロほど離れた鈴鹿市に住む中学3年生の西村柊音さん(15)です。

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「昔にこだわっていたら絶対無理」伝統文化を存続させる“カギ”は

(西村柊音さん)
「母親が近所に貼ってあった(募集の)ポスターを見つけて『やってみたら』ということで。文化的なものを感じるから、それが好き」

10種類以上の舞があるという「中野獅子舞」。振り付けを1つ1つ覚える必要があり、すぐに舞えるようになるわけではありません。週に1度、2時間ほど集まっては、奉納神事に向けて練習に励んできました。

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(一身田中野獅子舞保存会・大村順彰さん)
「(Q.西村さんはどうですか?)うまかったですよ。形はしっかり覚えていたので、あとは細かい所だけ少しだけやれば良いと思います。自信をもってやってもらえたら」

(西村さんのお母さん)
「(Q.見ていてどうですか?)成長したと思います。家に帰って(練習を)していたかいがあったと思います」

(西村柊音さん)
「初めてなので、うまくできるかどうかもわからないので、間違えずに頑張りたい」

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そして、2月11日の奉納神事当日。いよいよ西村さんが獅子舞の中に入りました。演目は「乱舞い」。

目覚めた獅子が厄災を祓い、清める様子を表現します。

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西村さんは、ひとつひとつ動きを間違えることなく、やり遂げました。

(西村柊音さん)
「こういうお祭りも年々なくなってきていると思うので、続けていくのは難しいことですけど、僕たちみたいな若い人が入ってくると続けられるんじゃないかなと思うので、これからも続けていきたい」

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(中野獅子舞保存会・小林達也会長)
「(年配者は)3年後も見たい、その3年後も見たいと待ってくれているので。(Q.昔のルールを変えていくことは必要?)必要だと思います。どんどん改革していかないと。昔にこだわっていたら絶対無理」

呼び物である祭りの中核の部分を守りながら、細かな「しきたり」を時代に合わせて変えていくこと。各地で伝統文化を存続させていくための「カギ」になりそうです。

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