石川県の施設から高齢者をヘリで移送 愛知県の医療機関が受け入れへ 「南海トラフなら被害はもっと大きく」 

能登半島地震が発生してから11日目、愛知県は石川県から高齢者施設の入所者の受け入れを開始。

11日、高齢者を乗せた自衛隊のヘリコプターが、愛知県の県営名古屋空港に到着しました。

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石川県珠洲市と能登町では、これまでに避難先などで、けがや病気が悪化して亡くなる「災害関連死」が合わせて8人確認されました。

ライフラインが大きな被害を受けたことで、高齢者など長期の避難が困難な人たちの健康を守ることが急務となっています。

(報告:平野薫記者)
「午前11時半前です。石川県から高齢者施設の利用者を乗せた自衛隊のヘリが県営名古屋空港に到着しました」

愛知県豊山町にある県営名古屋空港には11日午前、石川県から自衛隊のヘリに乗って高齢者施設の入所者15人が到着しました。

これは、愛知県の複数の医療機関で受け入れる準備が整ったとして、10日に石川県に申し出ていたものです。

空港内には臨時の救護室が設けられ、DMATの医師15人ほどが健康状態を確認。

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1月8日まで、石川県珠洲市で医療救援を行っていた名古屋大学病院の山本医師も駆けつけました。

(名古屋大学病院 山本尚範医師)
「石川県の馳知事が『このままでは関連死が増えてしまうので、そういった方を搬出しなければならない』と会見で言っていた」

(石川県 馳浩知事:10日)
「速やかに運ぶということが関連死を防ぐために必要なことだと思う」

(名古屋大学病院 山本尚範医師)
「愛知県が真っ先に手を挙げて、医療機関が協力して受け入れることになった」

健康状態の確認を終えた皆さんは、名古屋掖済会病院や愛知医科大学病院など12の病院に搬送されました。

(名古屋大学病院 山本尚範医師)
「珠洲市は高齢化率が高いんですね、52パーセントです。たくさんの世話を介護を必要としている人たちを介護する側の人たちが激減して 、しかも不眠不休」

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石川県では、寝たきりなど支援が必要な高齢者が300人から400人にのぼるとみられていますが、能登半島地震でサポートする側の人たちも被災。

救うべきは、けが人だけではないという現実が…

そこで、愛知県の医療機関はスクラムを組み、支援することを決めたのです。

(名古屋大学病院 山本尚範医師)
「南海トラフ(巨大地震)が起きたときは、もっと被害の規模が大きくなります。これから高齢化は都市部でも進んでいく。つまり珠洲市の姿は未来の名古屋市や他の市町村の姿」

他人事ではない災害弱者のサポート。

心臓疾患や糖尿病の悪化、エコノミークラス症候群や免疫力低下による感染症など、山本医師らの空港でのチェックは続きました。

(名古屋大学病院 山本尚範医師)
「いま私が聞いている情報だと、石川県内で介護が必要で外で面倒を見ないといけない方が1000人規模でいるのではないか。医療と福祉の壁を越えて、みんなでどうやって石川県の人たちを支えていくのか。遠く離れてしまって、ご家族の方は心配されていると思うんですけど、責任を持って愛知県で見守っていきたい」

11日は午後の便で到着した人も合わせて、30人が愛知県内の病院に一時搬送されました。

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