骨髄移植拒否後13歳死亡のケースも 親の信仰で子どもたちが虐待被害 国の初の実態調査結果公表

親が宗教を信仰している子どもたち、いわゆる宗教2世への虐待をめぐり、国がまとめた指針の周知状況などについて初めて実態調査が行われ、病院を受診させなかったり輸血させなかったりするなどの「医療ネグレクト」が3年間で少なくとも20件あったことがわかりました。

こども家庭庁が行ったのは、親の信仰を背景とした子どもへの虐待に対応する際の留意点をまとめた国の指針について、全国の児童相談所や医療機関、学校などを対象にどの程度こうした指針が周知されているかなどを尋ねたものです。

調査の結果、国の指針について、医療機関で、▼「内容も含めてよく理解している」と回答したのは、26.8%(37件)で、▼「存在は知っているが、内容までは理解していない」が48.6%(67件)、▼「存在を知らない」が24.6%(34件)となりました。

また、自治体では、▼「内容も含めてよく理解している」と回答したのは、34.2%(396件)で、▼「存在は知っているが、内容までは理解していない」が55.7%(646件)、▼「存在を知らない」が9.3%(108件)となりました。

さらに、自治体が小学校などの関係機関に対し、国の指針について周知したかについては、「周知した」と回答したのが17.8%(206件)と、およそ2割にとどまっていて、改めて指針を周知する必要性が浮き彫りとなりました。

また、学校においても「保護者の信教の自由に関することなので、保護者への対応にためらいを感じる」との回答が小中高のいずれも5割を超えていて、学校で消極的な対応となっている可能性があるということです。

児童相談所に対して親の信仰を背景にした虐待に対応のする際の課題について尋ねたところ、70.7%(162か所)が▼保護者の信条に関することなので保護者指導をしても改善が難しいと回答し、さらに65.5%(150か所)が▼子ども本人が虐待であると気付きにくく、早期発見が難しいと回答しました。

当事者であるいわゆる宗教2世28人へのヒアリング調査も行われ、多くが「後から当時を振り返って虐待にあたる状況だったとわかった」と回答していて、被害にあっている認識を持たずに、親から虐待を受けていたケースが多くあることもわかりました。

こうした宗教2世への虐待被害の発見が難しいことについて当事者は。

エホバの証人2世 団作さん(仮名)
「物心つく前から宗教活動が生活の一部となっていて、それが虐待であるとか拒む権利があるだなんて発想には全くいたらなかった。学校や医療機関などが国のガイドラインを十分把握する必要があるのはもちろんのこと、子どもが宗教の問題を相談してもよいと思える分かりやすい相談窓口などの整備が必要だと思う」

医療機関への調査では2020年10月からの3年間で、病院を受診させなかったり輸血させなかったりするなどの「医療ネグレクト」が少なくとも20件あったことがわかりました。

中には、輸血を理由に骨髄移植を拒否し13歳の子どもがその後亡くなった事例もあるということです。

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