保湿薬「ヒルドイド」10月から自己負担増 クリーム555円⇒813円 “美容目的で使用”の問題も【ひるおび】

幅広い世代で処方される保湿用塗り薬「ヒルドイド」の自己負担額が10月から上がります。
その背景や私たちに与える影響について、医療ジャーナリストの森まどか氏に聞きました。

ヒルドイドとは

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「ヒルドイド」は、アトピー性皮膚炎などの治療に処方される保湿用の塗り薬です。アトピー性皮膚炎や肌全体の乾燥、赤ちゃんの保湿剤として使われています。

医療ジャーナリスト 森まどか氏:
子どもから高齢者まで幅広く使われています。少し乾燥気味という方から、かなり重症の皮膚病を治療されている方まで使われている薬です。

コメンテーター 関根麻里:
子どもたちも、乾燥や湿疹などで赤ちゃんのときに処方してもらっていました。

コメンテーター 高橋ユウ:
息子を皮膚科に連れていくと、必ずと言っていいほどヒルドイドを処方されるので使ったり、私自身も肌荒れが気になったときに皮膚科で処方していただいたりして使っていました。

なぜ10月から負担が増えるのか

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厚生労働省は、2024年10月から特許切れの先発医薬品のうち
▼ジェネリック医薬品の発売から年数が経っているもの
▼ジェネリックへの置き換えが進んでいるもの
について、自己負担を引き上げます。
理由について、価格の安いジェネリック医薬品の利用を促すためとしています。
対象の医薬品は1095品目で、この中に「ヒルドイド」も入っています。

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では、どのくらい負担が増えるのでしょうか。
例えば、クリームタイプのヒルドイド(100g)を処方された場合、現在3割負担の人で自己負担額は555円ですが、10月からは813円となります。差額は258円です。
ただ、医師が"医療上必要がある”と判断した場合には引き上げの対象外となります。

医療ジャーナリスト 森まどか氏:
元々この10月からの自己負担の引き上げは、既にシェアが5割以上後発品に置き換わっているものに関してジェネリックを推し進めるためにそちらを使ってもらい、それでも先発品が欲しいという方に追加の負担を求めるという制度なんですね。
ただ、医師の診断で、この先発品でないと駄目だという方には不利益が生じないように追加分なしで使用できるようになる。
ですから、ヒルドイドが必要だと医師が診断した方に関しては追加の負担はないということになります。

美容目的の使用が問題に

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ヒルドイドを巡っては美容目的での使用も増え、問題になっていました。
インターネットなどで「美肌になれる」と紹介されており、公的医療保険を適用すれば安く入手できることから化粧品代わりに使う人が増加しているということです。

SNSにはこんな声がありました。
「病院でヒルドイド出してもらえた。これでアンチエイジングだ」
「処方薬だから、肌が乾燥するからくださいと言えばOK」

森氏は、
「美容目的での不適切な利用が増え、医療費の無駄遣いだと問題になっていた。医師の姿勢もより問われるのではないか」と話しています。

医療ジャーナリスト 森まどか氏:
ヒルドイドに関しては、美容目的で使っている方が多いというのが10年ぐらい前から問題になっているんです。そうした問題を解決するために市販薬も販売されたんですが、どうしてもクリニックに行って保険で処方してもらっている方がいるのが実態です。

恵俊彰:
実際、美容効果はどうなんですか?

医療ジャーナリスト 森まどか氏:
保湿効果ですので、特に化粧品のような美容成分が含まれているというわけではなくて、本当に治療のために必要な人が使う医薬品です。

弁護士 八代英輝:
私も皮膚炎なので皮膚科に行くとヒルドイドを出していただけるんですけれども、ドラッグストアに行ってこんなに値段が違うんだと気づいて、それから自分は処方薬としてもらわないでドラッグストアで買うようにしています。

恵俊彰:
そういうことですよね。必要な人にちゃんと届くような体制を作らなきゃいけない。

医療ジャーナリスト 森まどか氏:
後発医薬品でも大丈夫な方は、置き換えていくことが重要になってきます。私たちも意識を変えていく必要があります。

(ひるおび 2024年4月23日放送より)

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