「明大前駅」には何がある? 行列ラーメン屋やコーヒー店も有名な学生街、昔の駅名は「火薬庫前駅」!?
明大前駅は、京王線と井の頭線の2本が交差しており、都心の新宿&渋谷という2大ビッグシティに電車1本でスッと移動可能! また、井の頭線を使えば「住みたい街」ランキング首位常連の吉祥寺に行けて中央線にもアクセスできるほか、京王線を使えば西側の八王子に、都営地下鉄新宿線を経由すれば東側の千葉県方向に向かえるなど、都内の東西交通に大変便利な駅です。
一方、駅周辺は明大生や他校の学生たちが多い立地を反映して、雑然としながらも活気ある学生街となっています。飲食店なども数多く、生活上の利便は非常にいい街だと言えるでしょう。
京王電気軌道(後の京王電鉄)としての明大前駅は1913年に開業しており、当初の駅名は「火薬庫前駅」でした! 何とも物騒ですが……これは江戸時代、近くの甲州街道沿いに徳川幕府が鉄砲や火薬を保管する「煙硝蔵(えんしょうぐら)」があったことに由来するそうです。
後の1917年には過去の村名に合わせて「松原駅」となり、1933年には帝都電鉄(後の京王井の頭線)側の駅も開業。1934年には明治大学の施設が駅近くに移転したことから、翌1935年に現在の「明大前駅」へ改称されました。
明大前駅には、京王電鉄が運営する駅ナカ商業施設「フレンテ明大前」が接続。こちらは改札外1階にミニスーパー「京王ストアエクスプレス」が入っているほか、上層階に飲食店やフィットネス施設などが営業中です。
改札内の井の頭線下りホーム内にも、複数の飲食店やショップが並んでいます。
明大前駅の駅前広場はかなり雑然としていて、生活感に満ちた印象。
明大前駅周辺の風景を代表するのが、こちらの「明大前商店街」です。1996年に4つの商店会が合併し世田谷区最大の振興組合を持つ商店街に。多くのイベントや取り組みを積極的に行う、活気にあふれた買い物スポットです。
昼下がりには地域の人々のほか、学生の集団も数多く、あちこちから談笑の声がこだまして非常ににぎやかです。
また、地面より下を走る井の頭線、頭上の高架を走る京王線が交差する立地を反映して、駅前の空間自体が立体的になっており、道幅も狭く、さながら迷路のような雰囲気を漂わせています。
商店街には、あちこちに注目のお店が点在しています。駅前雑居ビルの「ラーメン鷹の目」も人気の店で、13時にはすごい行列が!
商店街内の油そば専門店「武蔵野アブラ学会」にも、同様の行列ができていました。育ち盛りの若者が好むものといえばガッツリ系のラーメンですが、とりわけ若年層が多い明大前の商店街とラーメン屋は相性抜群のようです。
また、木質の外観と植栽がおしゃれなコーヒースタンド「マーメイドコーヒー ロースターズ」は、ちょっとしたくつろぎ時間を心地よく演出してくれそう。
タイ&インドのエスニックダイニング「コヒヌール」も、ランチタイムには大入りに。メニューも1000円前後でリーズナブルと、こちらもお昼時にはうれしい存在です。
商店街のただ中にある「斉藤時計店」には、長い年月を重ねた風格ゆえか、一転して落ち着いた空気が流れています。
一方、南側は比較的のんびりした空気で、開発工事中のフェンスも目立ちます。この近辺では都市計画法に基づいた道路事業が進行中とのこと。
南側も飲食店などが多く、入ってみたくなるお店があちこちに点在。エネルギーと喧騒(けんそう)に包まれた北側に比べると、南側は比較的ゆったりと散策できそうです。
明大前駅の東側、駅からすぐ近くにあるのが「スーパーマーケットリコス」。
「まいばすけっと」は駅の南側に2軒もあります。
駅から西側に少し歩いた場所には、中規模スーパーの「スーパーバリュー ロピア」もあります。
駅を出て北方向に少し歩き、甲州街道(首都高速4号新宿線)を歩道橋で渡ります。橋の両側にエレベーターが付いているので、ご老人や車椅子の人でも利用しやすい構造です。ここを数多くの大学生が、大学から駅へ、駅から大学へと渡っていきます。
歩道橋を降りた先はすぐ「明治大学 和泉キャンパス」の正門です。
この近くにある「塩硝蔵地跡」は先述の通り、この地域に江戸幕府の弾薬庫があった歴史を示しています。当時は貯蔵庫だけで約2万3000平米もの規模があったそうですが、明治を経て大正時代にはその役割を終え、現在は看板表示のみが名残となっています。
その跡地に移転してきたのが、1923年の関東大震災で駿河台キャンパスが全焼した「明治大学」であり、現在は「和泉キャンパス」として多くの学生や知識人を迎え入れています。なお、受付で確認したところ、コロナ禍以降の現在では、大学と関係のない一般人の入校や見学は受け付けていないとのことでした。残念……!
大学入り口の右手には長い自転車置き場があり、その先へ進むと玉川上水の水道橋というべき大きな配管と歩道が。
玉川上水は都内西部から四ツ谷駅周辺まで流れており、都心に近づくにつれて暗渠(あんきょ)の部分が多くなるのですが、この近辺では地下を走る井の頭線を避けるため、地上配管で水を通しています。
玉川上水の水道橋と、その近くにある線路沿いの道路は井の頭線の見物スポット! 明大前駅〜永福町駅間を行き来する電車を一望できます。
現在の明大前駅周辺は、京王線の連続立体交差事業に合わせ、住環境や防災能力をさらに高めるため駅前の再開発計画が進行中とのこと。明大前の路線も高架になり、駅舎自体もスタイリッシュに生まれ変わるそうです。再開発が完了すれば、明大前商店街などの雰囲気も現在からある程度、あるいは大きく様変わりするでしょう。
人通りが多い商店街の一部には、治安などでやや不安に感じる所も散見されるのですが、それに対抗するように、明大前駅の広場には「明大前ピースメーカーズボックス」という商店街主導の自警団事務所が置かれていました。公的事業と住民・商店主側の双方から、明大前では「もっといい街にしよう!」という取り組みが進行中のようです。
明大前駅は都心部へのアクセスが非常にいいだけでなく、駅前商店街がにぎわっていてスーパーなども複数あり、日々のお買い物にも休日の散策にも事欠かない住みやすさ抜群の街です。学生さんに限らず、都心近くでゆったり暮らしたい人にちょうどよさそうですね。
この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。
(文:デヤブロウ)
一方、駅周辺は明大生や他校の学生たちが多い立地を反映して、雑然としながらも活気ある学生街となっています。飲食店なども数多く、生活上の利便は非常にいい街だと言えるでしょう。
明大前駅、当初の駅名は「火薬庫前駅」だった!?
明大前駅周辺の家賃相場は駅徒歩10分以内、築年数10年以内でワンルームが約9.1万円、1LDKで約14.1万円、2LDKは約18.3万円となっています(SUUMO、2024年11月8日確認)。井の頭線内では渋谷駅周辺より4万円前後も安い相場ですが、反対側の吉祥寺駅とはほぼ同程度。京王線内では新宿駅より1万円少々安めでありながら、八王子近辺も含む路線全体では高い方のようです。京王電気軌道(後の京王電鉄)としての明大前駅は1913年に開業しており、当初の駅名は「火薬庫前駅」でした! 何とも物騒ですが……これは江戸時代、近くの甲州街道沿いに徳川幕府が鉄砲や火薬を保管する「煙硝蔵(えんしょうぐら)」があったことに由来するそうです。
後の1917年には過去の村名に合わせて「松原駅」となり、1933年には帝都電鉄(後の京王井の頭線)側の駅も開業。1934年には明治大学の施設が駅近くに移転したことから、翌1935年に現在の「明大前駅」へ改称されました。
駅ナカが便利で商店街にもいい店がたくさん
明大前駅には、京王電鉄が運営する駅ナカ商業施設「フレンテ明大前」が接続。こちらは改札外1階にミニスーパー「京王ストアエクスプレス」が入っているほか、上層階に飲食店やフィットネス施設などが営業中です。
改札内の井の頭線下りホーム内にも、複数の飲食店やショップが並んでいます。
明大前駅の駅前広場はかなり雑然としていて、生活感に満ちた印象。
学生があふれる「明大前商店街」
明大前駅周辺の風景を代表するのが、こちらの「明大前商店街」です。1996年に4つの商店会が合併し世田谷区最大の振興組合を持つ商店街に。多くのイベントや取り組みを積極的に行う、活気にあふれた買い物スポットです。
昼下がりには地域の人々のほか、学生の集団も数多く、あちこちから談笑の声がこだまして非常ににぎやかです。
また、地面より下を走る井の頭線、頭上の高架を走る京王線が交差する立地を反映して、駅前の空間自体が立体的になっており、道幅も狭く、さながら迷路のような雰囲気を漂わせています。
行列ができるラーメン屋、おしゃれなコーヒー店も
商店街には、あちこちに注目のお店が点在しています。駅前雑居ビルの「ラーメン鷹の目」も人気の店で、13時にはすごい行列が!
商店街内の油そば専門店「武蔵野アブラ学会」にも、同様の行列ができていました。育ち盛りの若者が好むものといえばガッツリ系のラーメンですが、とりわけ若年層が多い明大前の商店街とラーメン屋は相性抜群のようです。
また、木質の外観と植栽がおしゃれなコーヒースタンド「マーメイドコーヒー ロースターズ」は、ちょっとしたくつろぎ時間を心地よく演出してくれそう。
タイ&インドのエスニックダイニング「コヒヌール」も、ランチタイムには大入りに。メニューも1000円前後でリーズナブルと、こちらもお昼時にはうれしい存在です。
商店街のただ中にある「斉藤時計店」には、長い年月を重ねた風格ゆえか、一転して落ち着いた空気が流れています。
一方、南側は比較的のんびりした空気で、開発工事中のフェンスも目立ちます。この近辺では都市計画法に基づいた道路事業が進行中とのこと。
南側も飲食店などが多く、入ってみたくなるお店があちこちに点在。エネルギーと喧騒(けんそう)に包まれた北側に比べると、南側は比較的ゆったりと散策できそうです。
駅近辺にはスーパーも多く、買い物には困りません
明大前駅周辺は食料品などのスーパー、量販店が複数あり、商店街のにぎやかさとも合わさって買い物に不自由することはありません。明大前駅の東側、駅からすぐ近くにあるのが「スーパーマーケットリコス」。
「まいばすけっと」は駅の南側に2軒もあります。
駅から西側に少し歩いた場所には、中規模スーパーの「スーパーバリュー ロピア」もあります。
首都高の先にある「明治大学 和泉キャンパス」
明大前駅からの散歩におすすめなのは、やはり明治大学近辺でしょう。駅を出て北方向に少し歩き、甲州街道(首都高速4号新宿線)を歩道橋で渡ります。橋の両側にエレベーターが付いているので、ご老人や車椅子の人でも利用しやすい構造です。ここを数多くの大学生が、大学から駅へ、駅から大学へと渡っていきます。
歩道橋を降りた先はすぐ「明治大学 和泉キャンパス」の正門です。
この近くにある「塩硝蔵地跡」は先述の通り、この地域に江戸幕府の弾薬庫があった歴史を示しています。当時は貯蔵庫だけで約2万3000平米もの規模があったそうですが、明治を経て大正時代にはその役割を終え、現在は看板表示のみが名残となっています。
その跡地に移転してきたのが、1923年の関東大震災で駿河台キャンパスが全焼した「明治大学」であり、現在は「和泉キャンパス」として多くの学生や知識人を迎え入れています。なお、受付で確認したところ、コロナ禍以降の現在では、大学と関係のない一般人の入校や見学は受け付けていないとのことでした。残念……!
大学入り口の右手には長い自転車置き場があり、その先へ進むと玉川上水の水道橋というべき大きな配管と歩道が。
玉川上水は都内西部から四ツ谷駅周辺まで流れており、都心に近づくにつれて暗渠(あんきょ)の部分が多くなるのですが、この近辺では地下を走る井の頭線を避けるため、地上配管で水を通しています。
玉川上水の水道橋と、その近くにある線路沿いの道路は井の頭線の見物スポット! 明大前駅〜永福町駅間を行き来する電車を一望できます。
今後は、駅の高架化・再開発でさらにおしゃれ&便利に!
現在の明大前駅周辺は、京王線の連続立体交差事業に合わせ、住環境や防災能力をさらに高めるため駅前の再開発計画が進行中とのこと。明大前の路線も高架になり、駅舎自体もスタイリッシュに生まれ変わるそうです。再開発が完了すれば、明大前商店街などの雰囲気も現在からある程度、あるいは大きく様変わりするでしょう。
人通りが多い商店街の一部には、治安などでやや不安に感じる所も散見されるのですが、それに対抗するように、明大前駅の広場には「明大前ピースメーカーズボックス」という商店街主導の自警団事務所が置かれていました。公的事業と住民・商店主側の双方から、明大前では「もっといい街にしよう!」という取り組みが進行中のようです。
明大前駅は都心部へのアクセスが非常にいいだけでなく、駅前商店街がにぎわっていてスーパーなども複数あり、日々のお買い物にも休日の散策にも事欠かない住みやすさ抜群の街です。学生さんに限らず、都心近くでゆったり暮らしたい人にちょうどよさそうですね。
この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール
都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。
(文:デヤブロウ)
11/17 21:25
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