《この国のマスコミはどうかしてる》須藤早貴被告「覚醒剤証言の変化」背景にあると主張した“人への不信感”【紀州のドン・ファン事件公判】
『紀州のドン・ファン』と呼ばれた会社経営者・野崎幸助さん(当時77)が自宅で死亡していた事件で、殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)。11月11日、2回目となる被告人質問が和歌山地裁で行われ、同被告が証言台に立った。
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野崎さんと須藤被告は2018年2月に婚姻届を出して夫婦となったが、同年5月24日に野崎さんは死亡。自宅2階の寝室で意識を失っているのを発見したのが須藤被告で、野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒だった。
検察側は今年9月に開かれた初公判での冒頭陳述で、須藤被告が「莫大な遺産を得るために完全犯罪をたくらんだ」と指摘。一方で無罪を主張した須藤被告は、被告人質問初日となった11月8日、「性交渉がうまくいかない野崎さんから覚醒剤購入を求められ、従った」と驚きの主張をしていた。売人との接触を認めつつ、後日野崎さんから「あれ(被告が渡した覚醒剤)はニセモンや」と言われたと主張していた。
「被告人質問2日目、初日と同じ白のYシャツと上下黒のパンツスーツ姿で入廷した須藤被告。まずは弁護人側による質問が続きました。検察側から指摘されている“遺産を得るため”という動機については、〈遺産目当ては最初から隠してないです。そもそも100万円もらって結婚して…〉〈(野崎さんとの関係は)んー、お金の関係です〉(〈〉内は須藤被告の発言、以下同)と主張しました」(裁判を傍聴したライター)
検察側に質問のバトンが渡ると、須藤被告の「覚醒剤購入の動機」について指摘が相次いだ。検察側は、須藤被告がこれまで覚醒剤購入の経緯について、事件当初の取り調べでは「買っていないし(野崎さんが)関わっているとも思わなかった」と説明していたことを指摘。「なぜ当時、証言しなかったんですか?」と問われると、被告はこう答えた。
〈現に今、こうやって、(実際に買ったのが)氷砂糖だったとしても、逮捕されて起訴されてるわけですから〉〈自分が覚醒剤を買ったということを言ったら、余計(殺人を)怪しまれるだろうと思って、言えなかった〉(須藤被告の発言)
司法担当記者が語る。
「検察側は『野崎さんに覚醒剤の購入を指示された』という主張に切り込むべく、『なぜこれまで証言しなかったのか』、『野崎さんは具体的にどのように購入を指示したのか』について質問し続けました。須藤被告は、覚醒剤に関する話題について『(野崎さんと)会った初日にも昔の愛人が使っていたと言っていた』としつつ、覚醒剤購入に至るまでの野崎さんとのコミュニケーションについては具体的に言及しなかった印象です。
被告は起訴されるまで購入について『誰にも言いませんでした』としたが、証言しなかった理由として挙げていたのが、メディアや周囲の人間への“不信感”でした」
須藤被告と弁護人側は、検察側の証人尋問で登場した人物の主張の“誤り”を証拠とともに指摘。事件後当時については〈プライバシーがガンガン流出して〉とし、警察やメディアを信じられなくなっていたと主張した。
「事件の被告という立場にある彼女ですが〈行くとこ行くとこ追いかけられるし、自宅の前にもいる〉〈私、5回くらい引越ししたんです。でも全部バレるし、芸能人でもないのに、この国のマスコミはどうかしてるなと思います〉との不満を口にしていました。
また事件後、親族に『警察来ても余計なこと言っちゃダメだよ』と伝えていたことを問われると、〈警察に言った情報は全部マスコミにリークされると思っていたので、余計なことを言わないでほしかった〉とした。須藤被告に疑いの目が向けられるようになると同時に、セクシービデオ出演歴も拡散されたこともあり、各方面に不信感を募らせていた、と主張した」(司法担当記者)
犯人性について真っ向から対立する須藤被告と検察側。犯行を示す直接的な証拠がない中、検察側がどう切り込むのか。11月15日には、被告人質問の最終日が予定されている。
11/11 20:30
NEWSポストセブン