4都府県の緊急事態宣言延長 愛知・福岡も追加

緊急事態宣言で虐待潜在化の恐れ 閉鎖的環境、親の負担も増加

 新型コロナウイルスの感染拡大で自粛生活が長引くなか、児童虐待のリスクが懸念されている。過去の宣言下では相談件数の増加ペースが鈍化する現象があり、専門家は家庭という閉鎖的な環境で虐待が発見されづらくなる危険性を指摘している。

 「ママもパパもたたいてくる。家にいたくない」

 最初の緊急事態宣言が解除されてからまもない昨年5月24日夜、大阪府内の交番で小学4年の女児がこうつぶやいた。女児は家出しようとしていたため、母親とともに交番を訪れていた。事情を尋ねられた母親は警察官に「コロナで学校が休みなのに家で勉強をしなかったからたたいた」と説明した。大阪府警は女児を児童相談所(児相)に身柄付きで通告し、児相で一時保護することになった。

 コロナ禍で、児童虐待は全国的に深刻化している。警察庁によると、昨年1年で虐待の疑いがあるとして全国の警察が児相に通告した子供は、一昨年より8769人多い10万6991人で、統計を取り始めた平成16年以降で過去最多となった。虐待の検挙件数も平成22年の約5・5倍となる2133件だった。

 児相での勤務経験がある花園大の和田一郎教授(児童福祉論)は「『在宅で仕事をしなきゃいけないのに子供がいて集中できない』などと、親にとって精神的に負担になっていることが要因だろう」と分析する。

 和田教授が参加した全国の親子約3600人などから回答を得た大阪府立大の調査では、保護者の約25%は心身の負担が増加し、3割強の子供が高いストレスを抱えていた。また、コロナ禍での家計状況の悪化や不本意な在宅生活などにストレスを抱えていると答えた人の多くが、家庭内不和を起こしていることが分かった。

 厚生労働省によると、虐待相談の対応件数は昨年3月までは前年比11~18%増で推移した。ところが第1回緊急事態宣言にかかる4月は同9%増、同じく5月は同1%減と、増加ペースが鈍化していた。和田教授は「自粛生活で家庭は外部とのネットワークが薄くなりがち。閉鎖的な環境は第三者が発見しづらい危険性がはらむ」と指摘する。

 今回の宣言中も自粛生活は続く。和田教授は「タブレット端末などを活用し、継続して子供の安全が確認できるような仕組みが必要だろう」と話した。(小松大騎、桑波田仰太、木下未希)

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