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「紀州のドン・ファン」殺害、逮捕1週間 間接証拠の積み上げ焦点 

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に覚醒剤を摂取させ、殺害したとして殺人と覚醒剤取締法違反の疑いで元妻、須藤早貴(さき)容疑者(25)が逮捕されてから5日で1週間。須藤容疑者は関与を認めていないとみられるが、殺害方法について事前に検索するなど、計画的犯行の疑いも浮かんできた。和歌山県警は過去の殺人事件も参考に、状況証拠の積み上げによって立証していく構えだ。

計画性強まる

 捜査の焦点の一つは覚醒剤だ。野崎さんは平成30年5月24日夜に自宅で急死。解剖の結果、死亡推定時刻は午後9時ごろで、体内から致死量を超える覚醒剤成分が検出された。

 県警は野崎さんが生前、覚醒剤と関わりがなかったことを確認したうえで、須藤容疑者の身辺を捜査。その結果、事件前に田辺市内で密売人と接触していたことが判明。容疑者自身が覚醒剤を使った形跡もないことから、犯行のために覚醒剤を入手したとみている。

 野崎さんが死亡直前、須藤容疑者と2人きりで夕食を取っていたことも、防犯カメラの映像や野崎さん宅の家政婦の証言などから判明。県警は解剖結果などから、野崎さんが夕食前後に覚醒剤を摂取させられた疑いが強いとみており、それが可能だったのは須藤容疑者だけと絞り込んだ。

 また、県警は須藤容疑者が事件前に、薬物入手や殺害の方法をスマートフォンで検索、関連サイトにアクセスした形跡があったことも確認。容疑者の犯行を示す証拠の一つとみている。

詐欺罪でも告発

 動機面も重要なポイントだ。

 須藤容疑者は野崎さんと死亡約3カ月前に結婚したばかり。野崎さんが毎月100万円を支払うことが、結婚の条件だった。

 だが野崎さんは、須藤容疑者の東京滞在が多いことなどに不満を募らせ、離婚を迫っていたという。野崎さんには約13億円に上る資産があり、亡くなれば須藤容疑者には半分分与を求める権利があった。

 また、須藤容疑者が野崎さんの死後、引き継いだ会社の資金約3830万円を詐取したとして詐欺罪で告発されていたことも判明。県警は、こうした金銭関係も動機につながる可能性があるとみている。

有罪の実績

 目撃証言などの直接証拠がない中、県警は状況証拠の積み重ねで、犯人性を固めていくしかないが、和歌山県内では平成29年、白浜町の海で女性=当時(28)=が溺れて死亡し、翌年に水難事故を偽装して殺害したとして夫(32)が逮捕、起訴される事件があった。

 この事件でも犯行の直接証拠はなく、夫は否認したが、県警や和歌山地検は間接的証拠を積み重ね、夫以外に犯行は不可能だったなどと主張。和歌山地裁は今年3月、夫の犯行と認め、懲役19年を言い渡した。

 判決では夫が事件前、「溺死に見せかける」などの言葉をスマートフォンで検索していたことも計画性と認定された。夫は控訴しているが、県警幹部はこの事件が「大いに参考になった」とし、「今回の事件でも覚醒剤を摂取させることができたのは須藤容疑者しかいない」と言い切る。

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