大逆転!石破総理10・1誕生「全身全霊尽くす」 初参戦から16年、総裁選ついに…1回目2位から決選投票で

自民党総裁の椅子に座る石破茂新総裁(代表撮影)

 岸田文雄首相(67)の後任を選ぶ自民党総裁選が27日、都内で投開票された。史上最多9人が立候補し、石破茂元幹事長(67)が、決選投票で高市早苗経済安全保障担当相(63)を破り、第28代総裁に選出された。10月1日召集の臨時国会で第102代首相に指名される。「最後の戦い」と明言した5度目の挑戦で、ようやく首相にまでたどり着いた石破氏は、1回目の投票では議員票が46票しか取れなかったが、決選投票では189票と3倍増にまで積み重ね、大逆転した。

 事実上の次期首相決定を見守る張り詰めた空気の中、選挙管理委員長を務めた逢沢一郎衆院議員の声が響きわたった。「決選投票のご報告申し上げます。高市君、合計は194票。石破君は215票であります。石破茂君をもって、当選者と決することになります」。その瞬間会場の緊張が解かれ、石破氏に万雷の拍手が降り注いだ。

 壇上に立った石破氏は「私どもは3年余、野にありました」と、2009~12年の民主党政権時代に言及。「自由闊達(かったつ)な議論ができる自由民主党、公平公正な自由民主党、そして謙虚な自由民主党、みんなが心を一にして政権を奪還いたしました。その時に戻りたいと思っております」と話し、裏金や派閥の問題などで混乱した党内の正常化を訴えた。緊張からか、ハアハアと息切れ気味。自ら「演説は得意」と胸を張る石破氏には珍しい光景が、高揚を物語っていた。

 1回目の投票では、石破氏の議員票はわずか46票。これまで独壇場だった党員・党友票でも高市氏に1票及ばなかった。ところが、2位で進んだ決選投票で一変。議員票を189票と爆増させ、地方票26との合計は215票。計194票の高市氏を僅差でかわした。

 苦節16年。首相への道程では辛酸しかなめていなかった。初めて総裁選に臨んだ2008年は、わずか25票で最下位。2度目の12年は圧倒的人気を誇る党員・党友票をバックに1回目は1位となったが、決選投票で議員投票の差で安倍晋三氏に敗れて逆転を許した。まさに今回と真逆のケース。18年は安倍氏との一騎打ちで議員票で329票対73票の圧倒的差を見せつけられて敗北。20年は菅義偉氏に歯が立たず、前回の21年は出馬すらあきらめざるを得なかった。

 無派閥を貫き、なれ合いを嫌う性格から「党員人気はあるが議員人気がない」と言われ続けてきた。15年に第3次安倍内閣で地方創生相に就任して以降は党内で要職に就かず、事実上の干され状態だった。

 沈みつつあった男の逆転劇。今後は、候補者の中で最も厳しい態度を見せてきた裏金問題を乗り切り、次期衆院選で野党の追い上げをどうかわすかが使命となる。石破氏は「国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語り、この日本国をもう一度、皆が笑顔で暮らせる安全で安心な国にするために、全身全霊を尽くしてまいります」と約束した。(樋口 智城)

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